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ノート(164) 刑務所における刑務作業や職業訓練について

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~教育編(2)

受刑43/384日目

「企画首席」の位置づけ

 刑務所で「企画首席」と呼ばれている企画担当の首席矯正処遇官からは、刑務作業の企画や立案、指導のほか、改善指導、教科指導、余暇活動、分類や作業の指定、仮釈放の審査などに関する総論的な講義が行われた。すでに静岡への移送2日目と2週間目に2度にわたって面接を受けていた人物だ。

 同じ首席矯正処遇官でも、「処遇首席」は、この企画首席がプランニングした刑務作業などを受刑者に的確に実施させる責任者ということになる。

 企画首席の下には、教員資格を持っていたり、心理学を専門としている法務教官のほか、職業訓練指導の資格を持つ作業専門官などが配置されており、各受刑者の生育歴や身上、経歴、性格、犯罪に至った原因などを調査し、受刑者それぞれの適性に沿った刑務作業の指定案などを作っている。

 受刑者にとって特に重要なのは、この企画首席がどの受刑者を仮釈放のレールに乗せるべきか判断し、保護観察の可否を決める更生保護委員会や仮釈放者の保護観察を担当する保護観察所などと連携している事実上の責任者だという点だ。

 企画首席による面接の際、仮釈放を希望するかといったことを尋ねられたり、その一存で処遇の方向性が決まったのもそのためだ。

刑務作業について

 この企画首席の講義は、特に刑務作業の種類や、その一つである職業訓練の実情などが中心だった。まず、前者に関する話は、次のようなものだった。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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