米音楽著作権管理団体ASCAPとBMIが作品データベースを統合へ

(写真:アフロ)

米国の二大音楽著作権管理団体であるASCAPとBMIが両者の作品データベースを統合するというプレスリリースを行ないました。JASRACの独占に近い日本の音楽著作権管理とは異なり米国ではASCAPとBMIが拮抗しています(たとえば、ビヨンセはASCAP、レディー・ガガはBMI)。さらに、ボブ・ディラン等の楽曲を管理するSESACという団体もあります。

複数の団体が競争することで独占の弊害を防げるという利点はありますが、楽曲を利用する立場としては、どの作品がどの団体の管理下にあるかを知ることが面倒であるという弊害があります。作品データベースを統合することで、この弊害が大きく軽減されると思われます。

フェーズ1のシステムは2018年末までにローンチされる予定であり、将来的にはウェブAPIの提供や他のデータベースの統合(少なくともSESACのデータは統合して欲しいですね)が予定されています。また、データ統合以外の分野では、ASCAPとBMIは今まで通りに競合していくことも明言されています(プラットフォームを共通化しつつも自由競争を重視するところはいかにも米国的です)。

ところで、今年の4月には、ASCAP、仏SACEM、英RPSが著作権データをブロックチェーンを使って統合するというプレスリリースを出しています(参照過去記事)が、今回のプレスリリースにはブロックチェーンへの言及はありません。おそらく、普通にRDBMSのデータ統合という形で進めていくのではないかと思います。

そもそも、ブロックチェーンは基本的に取引履歴のデータ保管技術です。一方、楽曲作品データベースはマスターデータであり、高速なルックアップと複雑な検索・集計処理が必要になるのでまさにRDBMS向けであって、ブロックチェーンを採用のメリットが明らかではないので普通にRDBMSで行くべきと思います(前記の「ブロックチェーン・プロジェクト」も結局RDBMS中心で実装して、Hyperledgerにログを保存して「はい、ブロックチェーン使いました」という形に持っていくのではないかと勘ぐってしまいます)。

ところで、データの統合も重要なのですが、Web APIの提供も重要で、モダンなUIを外付けで提供したり、契約プロセスとシームレスに連携したり、動画サイトや音楽配信サービスと連携したり、ライブハウスでの全曲報告を容易にしたり(将来的にはAIで自動的に演奏曲を判別して著作権処理を自動的に行なったり)等々、大きな可能性が開けます。

日本はというと、JASRACが独占に近い状態を維持していますが、スピッツの楽曲等を管理するNexTone(旧イーライセンス+旧JRC)も重要性を増しています。また、JASRACの作品データベースであるJ-WIDはレトロなUIですし、APIも提供されていません。是非、この流れの中で、JASRACとNexToneの作品データベースを統合すると共に、モダンなUIとWeb APIを提供する方向に進んで行ってほしいものです。加えて、米国の動きとも協調して、APIの仕様等を日米共通化してくれるとさらにすばらしいのではないかと思います。