マンチェスターシティの轍を踏むな-商標公開によるネタバレの防止法

出典:http://www.sbnation.com/

イギリスのサッカークラブ、マンチェスターシティの新クラブロゴが正式発表前に英国知的財産庁ホームページに掲載されてしまったという事件がありました(参照ニュース)。別に英国知的財産庁がポカをしたわけではなく、クラブ側による商標登録出願が早すぎたためです。英国知的財産庁は正規の手続にしたがって商標登録出願の内容を公開しただけです。

商標登録に直接の影響はないですが、正式発表前にネタバレしてしまうのは、発表のインパクトが弱まってしまうのであまりよろしくないですね。

日本をはじめとする多くの国では商標登録出願をするとその内容が自動的に(強制的に)ネット等で公開されます。日本の場合は、だいたい出願日から2~3週間で公開されます。商標は基本的に先願主義なので、できるだけ早く出願しておかないと他人に同一・類似の商標を出願されてしまい自分が権利化できなくなるリスクが増しますが、あまりに早く出願しすぎると、このようなネタバレ問題が生じます。

なお、商標登録出願の前後関係は時間単位ではなく日単位で行なわれます。したがって、たとえば、午前中に商標登録出願をして、午後に発表したとしても、第三者が発表の後に勝手出願してしまうと同日出願になってしまいます。同一・類似の複数商標の出願が同日に行なわれた場合には、両出願人に協議が命じられ、協議不調の時は「くじ」により決められます(私は見たことがないですが、そのためのガラガラポン機器が特許庁にあるそうです)。もちろん、不正の目的で行なわれた第三者の勝手出願は最終的に拒絶されるでしょうが、やっかいであることには変わりはありません。

ということで、重要なマークや名称を発表する場合には、公式発表の前日に商標登録出願を行なっておくのが多くの場合のベストプラクティスです。五輪エンブレムも発表の前日に商標登録出願されています。

ところで、ちょっと細かい話なので弊所ブログの方に書いたのですが、日本の特許庁の運用上、いったん商標登録出願をしてしまうと、出願を即取下げても公開は食い止められません。したがって、たとえば、新製品発表直前に製品名を商標登録出願したところ、何らかの事情により新製品発表が半年後に延期というような事態で、あわてて出願を取下げても出願公開は食い止められません。そういった意味からも正式発表の前日に出願するのが好ましいと言えます。

日本IBM、ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事、『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 IT系コンサルティングに加えてスタートアップ企業や個人の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています。お仕事のお問い合わせは http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から。【お知らせ】Skype/Chatworkによる特許・商標の無料相談実施中です。詳しくは上記お問い合わせ先から。

有料ニュースの定期購読

栗原潔のIT特許分析レポートサンプル記事
月額880円(初月無料)
週1回程度
日米の情報通信技術関連の要注目特許を原則毎週1件ピックアップし、エンジニア、IT業界アナリストの経験を持つ弁理士が解説します。知財専門家だけでなく一般技術者の方にとってもわかりやすい解説を心がけます。特に、訴訟に関連した特許やGAFA等の米国ビッグプレイヤーによる特許を中心に取り上げていく予定です。

Facebookコメント

表示

※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。

ニュースのその先に ドキュメンタリーで知る世界へ