STAP国際出願、日本への国内移行はまだ確認できず

元となる論文が取下げられたにもかかわらず、特許出願としては複数の国に国内移行が行なわれた(つまり審査を進める意図がある)との報道があった小保方さん等を発明者とするSTAP国際出願(PCT/US2013/037996)ですが、どの国に移行されたのかちょっと気になっていました。

まず、日本への移行情報ですが、INPIT(独立行政法人工業所有権情報・研修館)のサイトの「国内移行データ一覧表」を見るのが一番早いようだと、以前に書きました。この表は本日付で更新されていて、10月末までの日本への国内移行のデータが載っているのですが、STAP国際出願に相当する番号が載っていません。タイムラグがあるのかもしれません(ひょとすると外国語特許出願については翻訳文提出期間が過ぎるまで一覧表に載らないのかもしれません)が、日本には移行しなかった可能性があります。(追記:14/11/16 NPITに確認して10月末までに行なわれた国内移行は全部載ってるはずと聞いてから本記事を書いたのですが、データ一覧表を見ると最近2ヶ月のデータはすべて日本特許庁に行なったPCT出願になっています。ということは、外国語特許出願については翻訳文提出期間(2カ月)が経過するまではこの表には載らない可能性が高いと思えてきました。)

では、他の国はということで、EPO(欧州特許庁)の検索サイトespacenetで調べてみると、何と2013251649という番号でオーストラリアに移行されていました。オーストラリア特許庁の検索サイトAusPatでも確認できました。なお、クレームに補正がかかってますが、米国の場合のようにクレーム1だけ残して後は全部削除という豪快なことはやっておらず、普通に一部のクレームを残す形になっています(これに具体的にどういう意味があるのかは生物学のドメイン知識がない私では判断しかねます)。

出典:AusPat
出典:AusPat

また、以前の記事にも追記しましたが、米国への移行は14/397,080という出願番号で行なわれていることを、米国特許庁の審査経過情報データベースPAIRで確認した(手続補正書のコピーもアップしているので勘違いではあり得ません)のですが、それ以降、当該情報が見られない状況が続いています。米国の特許事務所に確認したところ、(PCT出願が英語で国際公開されていても)米国国内で公開公報が出るまでは国内移行の出願はPAIRに載らないのが正規の流れだそうなので、何らかのシステムトラブルかオペミスで誤って公開されてしまったタイミングで、私が見つけてしまったということかもしれません。理研が米国国内移行後に直ちに取り下げをしていない限り、間もなく正規に公開されると思います。

そういうことで、理研が言っていた「実用化された場合に市場が期待できる複数の主要国」とは少なくともオーストラリアとアメリカということになるかと思います(もちろんこれ以外の国にも移行されている可能性は十分あります)。なぜオーストラリアなのかは何か事情があるのかもしれませんがちょっとわかりません(ひょっとするとオーストラリアは審査請求の〆切が出願日から5年なので、できるだけ引っ張れる国ということで選定されたのかもしれません)。

日本IBM、ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事、『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 IT系コンサルティングに加えてスタートアップ企業や個人の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています。お仕事のお問い合わせは http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から。【お知らせ】Skype/Chatworkによる特許・商標の無料相談実施中です。詳しくは上記お問い合わせ先から。

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