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昭和の時代の営業スタイルは、「何か困ったことはありませんか?」と聞く、いわゆる「御用聞き」が一般的でした。しかし、柏恵子さんは、そのスタイルはもはや通じなくなっていると言います。インターネットの普及により、営業と顧客の間の情報格差がなくなっているためです。時代の変化が激しくなっている今、営業が変えたほうがいいことや、強化すべきことを聞きました。

<ポイント>

・「お困りのことはありませんか」と聞いてはいけない

・証券会社のトップセールスが心掛けていることとは?

・お客さまと徹底的に同じ言葉を使う意味

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■火消しではなく、価値共創

倉重:これも少しお伺いしたいと思ったのですが、「何かお困りのことはありませんか」と聞く御用聞き営業は駄目だと柏さんの書籍の中に書いてありました。これはどういうことなのか、少しご説明いただきたいです。

柏:お困りの事を聞いて課題を解決する営業を提案型営業と言います。昔はこれで十分にいけました。要はただものを売るのがプロダクトアウト、物売りセールスです。「ついでにこれもどうですか」というのがクロスセリングです。その上が提案型営業で、お困りのことはありませんかというのが定番なのです。

 結論から言うと、その一歩上のお客さまと何か考えたり、新しいものをつくり出したりするような、価値共創型営業になってもらいたいのです。提案型営業というのが、やはり長年営業の世界ではすごく番を張っていて、有名だったものですから。どうしても「お困りのことはありませんか?」という表現が出てくるのです。

 これが機能するのは、営業とお客さまの情報量が違う時なのです。昔は、営業はたくさんの情報を持っていて、お客さまは少しの情報しか持っていませんでした。ですからお客様が困ったことを言えばアドバンテージを取れて、営業から情報が流れていきました。でも、今はインターネットが普及してしまっているので、最初の段階で、お客さまと営業の情報量が、ほぼ一緒くらいになっているわけです。

倉重:情報格差が縮まっているということですね。

柏:そうです。倉重さん、例えば家電量販店にテレビを買いに行く時に、事前にいろいろと調べませんか?

倉重:確かにそうです。あるいは行って、その場で調べます。他社の価格帯など、大抵分かってしまいますね。

柏:家電量販店に行ったら現物をチェックするだけというのが今の時代です。「お困りのことはありませんか」というような聞き方をしても、お客様は「必要な情報があれば取りに行きますから」と思ってしまいます。これはどこの業界でも一緒だと思います。営業とお客様の情報格差がほとんどなくなった中での商談は、深い話ができなければ、お客様も満足されません。それには、お客様が大切にしている価値観を理解する必要があります。

倉重:今おっしゃったその価値観を掘り下げるという話だと思います。例えば、家電量販店のカメラ売り場にいるお客様に、「カメラをお探しなのですか?」と聞くのではないということですね。

柏:そうです。「お客さまはこのカメラを使って、どのようなことをされたいのですか」と聞くべきです。

倉重:「家族の写真を撮りたいのです」「子供の写真を沢山撮りたいのです」など、いろいろありますよね。

柏:「お子さんの写真ですか! それでは……」というところがないと、やはりものが売れない時代になっています。難しく言うと、お客さまの価値観を探っていくのです。相手が何をしたいのか分からないのに、「これはどうですか」「あれはどうですか」とすすめるのは危険かなと思っています。

倉重:一度ずれてしまうと、その話はもう聞きたくないですよね。

柏:そうなります。倉重さんのお仕事ではどうですか? 業種的に、まずは相手を理解をするのが先かと思いますが。

倉重:やはりいろいろなスタンスがあります。「事件が起こってから出て行く」というような、消防車的スタンスの弁護士もいます。

柏:火消しに行くのが仕事ですね。

倉重:そうです。私はその前の段階から、お客様と一緒にどのような会社にしたいですか、どのような制度をつくりますかと聞いて、価値提案をしているのかなと思います。こちらからいきなり提案するのではなく、「どうしたいですか?」と聞きながら、一緒につくっています。

柏:営業の方も、やはりそのような立ち位置が大事ですね。倉重さんのお客様との向き合い形は、倉重さんの会社の経営理念、「企業人事と共に歩む羅針盤でありたい」を表していますね。

倉重:よくご存じですね。

柏:はい、「共に」というところがすごく大事です。共に歩む形にしないと、いつまでたっても御用聞きのままです。サザエさんに登場する三河屋のサブちゃんのように、勝手口から入ってきて、「ちわーす、何かご用はないですか」と聞いて回るしかありません。

この状態で、お困りのことを聞いていると、確かに注文は取れるかも知れませんが、立場はお客様が上、営業が下というのが永遠に続きます。また、ピンポイントで困ったことを聞いてしまうと、背後にあるもっと大きな課題にたどり着かずに表面的解決で話が終わってしまうこともあります。結果として、「あの営業はたいして役に立たなかった」などと言われてしまうかもしれません。

出典 医薬経済社 「突破せよ!新時代を生き抜くMRの掟」柏惠子著イラスト:安良岡和美
出典 医薬経済社 「突破せよ!新時代を生き抜くMRの掟」柏惠子著イラスト:安良岡和美

倉重:われわれの業界、弁護士でも「何かもめそうなことはありますか」「トラブルになりそうなものはありますか」と聞いてしまいがちですが、企業からすれば、「そんなのは特にないよ」という話になってしまいます。しかし、「会社をもっとこうしたい」という想いであれば多くの人が持っているものです。

柏:ピンポイントで攻めてしまうと、どの業種の営業の人でも、そこしか見られません。以前、インターネットとケーブルテレビ、携帯電話、電気を商品にしているお客様がいらっしゃいました。けれども、インターネットの問い合わせが来ると、すぐに「12メガがいいですか、320メガがいいですか」と聞いてしまうのです。

倉重:機能の話ですね。

柏:そうすると、良くてもインターネットしか売れません。「なぜ今回は弊社にお問い合わせいただいたのですか?」という質問を投げたら、「実は孫と今回は同居することになってさ」という貴重な情報が得られるかもしれません。「それでしたら、夕方からお孫さんとディズニーチャンネルを見たら楽しいでしょうね」とか、「ご家族の電気代を見直してみませんか?」と提案できるネタを入手し損ねてしまうのです。

倉重:顧客の価値観に沿ったものを提案しないと、意味がないということですね。ちょうど今事務所の引っ越しで、いろいろな不動産屋さんとお話をしているのです。「このような物件がありますよ」と説明するだけの人と、きちんとこちらの価値観を理解した上で提案してくれる人では、全然印象が違うと思います。

柏:もっと言えば、「南向きで、何十平米以上の部屋が欲しいのです」という依頼に対して、優秀な不動産営業というのは、「今回はどのようなきっかけでお引っ越しを考えられたのですか?」「倉重さんがオフィスに求められる、最も大切なものは何ですか?」と聞くはずです。いくらでも掘り下げて、お客様の大切にしていることを聞き出すことができるのに、表面的な課題に飛びついてしまうのは、営業としては、もったいないかなと思います。

■お客様に「心地よくお過ごし頂くこと」を意識する

倉重:あとは「こんな営業は駄目だ」というのも、良かったら少し聞いてみたいです。

柏:オンライン営業に限らずですが、やはり営業職の心がけとして大切なことは、「お客様に心地よくお過ごし頂くこと」です。昔証券会社のトップセールスの方に、営業研修の前にヒアリングをしました。

その方のお話では、金融商品はどこから買っても商品自体は同じなので、「お客様に心地よくお過ごし頂くこと」を強く意識されているということでした。トップ中のトップの方なので、ものすごい秘訣をお持ちだと思っていたのに、あまりに単純なお話で驚きました。しかし実践していくと、奥が深くて効果的という意味では鉄板中の鉄板の心がけであるということが判ってきました。

倉重:心地良く過ごしてもらうためには、営業はどのようにしたらいいですか。

柏:そのMさんという証券会社の方は、心地良く過ごしていただくための一つの手法として、「お客さまと徹底的に同じ言葉を使ってください」とおっしゃっていました。

倉重:「おにぎり」と「おむすび」の話ですね。

柏:そうです。お客様が「おむすび」と言ったら、自分は「おにぎり」だと思っていても、最後までおむすびで通します。お客様が関東炊きと言ったら、自分はおでんだと思っても、最後まで「関東炊き」と言うことを徹底するのです。

出典 医薬経済社 「突破せよ!新時代を生き抜くMRの掟」柏惠子著イラスト:安良岡和美
出典 医薬経済社 「突破せよ!新時代を生き抜くMRの掟」柏惠子著イラスト:安良岡和美

倉重:柏さん的に、相手に心地良くなってもらうために意識していることはありますか。

柏:今日のテーマであるオンライン営業で言えば、やはり話し掛けかなと思っています。最近では書籍を出したので、100人、200人、300人という講演でお話しすることが多くなっています。「今、向こう側でウェビナーを聞いてくださっている方が、どのような方で、どのくらいの年齢で、どのようなお顔をされて聞いてくださっているのか」を意識することによって、相手の方は心地良くお過ごしいただけるのかなと思います。

 これは私が考えたのではなくて、ジャパネットたかたの高田明元社長が、書籍の中で書いていらっしゃったのです。テレビショッピングは、テレビの向こうに1万人、2万人いらっしゃるのだそうです。その時に高田明元社長は、1人の人をイメージしているとおっしゃっていました。

 例えばビデオを売る時に、「75歳のおじいちゃんで、孫が3人いる」とイメージします。ビデオを紹介する時には、「ほら、見てください。これだったらお孫さんがかわいく撮れますよ。お孫さんの一番いい表情が撮れるのは、ご家族ならでは。だから買っていただきたいのです」と言います。

倉重:いいですね。買いたくなってきました。

柏:「今、今お値段が気になりましたね? お値段はなんと……」というように、その人に向かってしゃべるのだそうです。これを私はやっています。

倉重:柏さんはいい声ですね。買いそうになりました。

柏:いえいえ、私はまだまだですが、倉重さんもぜひ毎日歌を歌って声を鍛えて下さい。

■どのような想いを持って仕事をしているか?

倉重:最後に「どのような思いで仕事をするのか」という話もしていただきたいと思います。

柏:今はオンライン商談で、速やかにお客さまと人間関係をつくって、速やかにお客さまの本質に迫っていくことが大事になっています。結局、最後は「自分がどのような人間になりたいのか」ということが問われると思います。

倉重:書籍の中にMRの方の例が出てきます。「先生の患者さんは自分の患者さんだという思いでやっている」というのが、すごくいい話でした。

柏:その製薬会社さんでは、会社の経営理念「パーパス・ビジョン・バリュー」を浸透させるための研修をしていて、その中で私が参加のみなさんに「自分のモットーは何か」ということを考えてもらっていました。その時ある女性のMRの方が、「今まで考えたことがなかったのですが、先生の患者さんは私の患者さんですという言葉が浮かびました」という発言をされました。それを聞いた時に、他の受講者のMRの方もはっとしてオンラインだったのですが、一瞬でその場の空気が変わりました。結局は「会社から言われたから」ではなくて、自分がどのような思いで営業をしていくのかが大事になるのです。

倉重:会社の理念はもちろん大事なのですけれども、例えば営業という仕事をしているならば、「何のために自分はその営業をやるのか」ということを自分に落とし込みます。そのような思いは、いろいろなところであふれてきますから、言葉の端々や行動で伝わります。当然結果にも差が出ますよね。

柏:出ると思います。これからは密度の濃い仕事が求められ、短時間で結果を出さなければなりません。会って間もない人と人間関係を結ぶとき、自分のスタンスがとても大事になってくると思います。

倉重:いいですね。私もこの対談の目的を「日本で朗らかに働く人を増やしたい」と定義しています。そうすることによって会社も働く人も良くなると信じているのです。

柏:倉重さんの講演の中で、「働くことは生きることだ」とよくおっしゃるではないですか。まさにそのように思っていて、ただ働くのではなくて、自分がイキイキと生きるために、どのような働き方を選択するのかが、すごく大事です。

倉重:それは個人の選択ですから。

柏:想いがやはり大事です。それがないと自分ブランディングも表面的なものになってしまいます。オンライン営業のスキルは学ばなければいけないポータブルスキルではありますが、正直苦手な人にとっては難易度が高くて大変だと思います。しかし、少しの違いで結果がすごく変わるので、ぜひチャレンジしていただきたいですね。

倉重:本当に少しの工夫ですね。

柏:どんどん進化していってもらいたいです。

■想いをエネルギーに生きる人を育てる

倉重:では、私からの最後の質問です。あらためて柏さんの夢をお願いします。

柏:私の夢は、どんな業界のどんな仕事でも、「このようになりたい」という想いを持って生きる人を育てることです。弊社のミッションが、「想いをエネルギーに生きる人を育てる」というものです。何をするにしても「ここに行きたい」というゴールセッティングができていない人は、弱いと思います。環境の変化がこれだけ激しくなってきたので、どのような業界であれ、どのような仕事であれ、自分はこのような想いを持っていますという、自分発で力強く生きていく人を、これからもどんどん育てたいと思っています。

倉重:それが結果として日本を良くすることにつながると思います。

柏:倉重さんと一緒に日本の働き方を変えるお手伝いを、本当に微力ですができるかなと思っています。

倉重:ありがとうございます。今日のお話は、「オンライン商談力」というタイトルの本にしたら、本当に全ての働く人向けに売れそうです。

柏:今出版している書籍『突破せよ! 新時代を生き抜くMRの掟』も、やはりAmazonのコメントなどを見ると、製薬会社営業のMR職ではない方がたくさん読んでくださっています。これからの時代をしなやかに生き抜く為の新しいスキルが重要なのだと、あらためて思いました。これからも、想いをエネルギーにより上を目指される方のサポートが出来ればと思います。

倉重:本日は、ありがとうございました。

■参加者質問:自分を高めるためにこれからの時代にすべきことは?

倉重:では参加者から質問を募りたいと思います。コヤマツさんよろしくお願いします。

コヤマツ:非常に有意義なお話をありがとうございました。オンライン商談力・面談力というのは、われわれの会社でも非常に求められていることなので、参考になりました。ありがとうございます。

 先ほどの信頼=専門性×人間性というところが、すごく自明というか、確かにそうだよねと腹落ちしています。オンライン時代でも仕事をしながら専門性は高められるかと思いますが、オンライン時代における人間性の高め方は、結構難しいと私自身は思っています。

 対面の時には比較的にいろいろな人と会いやすかったので、年上の方に会って結構怒られながら修正していくことで、人間性は高めやすいと思いました。柏さん的には、オンライン時代はどのように人間性を高めていけると思いますか。アイデアがあればお聞きしたいです。

柏:「自分を高める」というのは、人によって違ってくるかと思っています。そもそも私の場合は、三度の飯より勉強が好きなところがあります。50歳の時に、TOEICを何とかして730点以上にしようという野望を持って、880点にしてみました。55歳の時にコンサルタントなのに高卒の資格しかなかったのが嫌で、学歴ロンダリングでMBAを取りに行きました。もともと自分を高めることが好きだったので、そのようなところは違和感なくやってこられました。

 今はオンラインになって、情報があふれています。セミナーもたくさんあります。最初のうちは、「これも受けよう、あれも受けよう」と言っていましたが、だんだん自分の時間がなくなってきます。インプットばかりに溺れてしまうと難しいというのが、今の自分の課題です。

 そこで考えたのは、やはり自分から発信していくことです。今は自分で読書会などをしています。昔は人事系のお客さまとお食事に行ったり、ランチに行ったり、自宅に招いたりしていたのですが、コロナでできなくなってしまいました。横のつながりが希薄になってきているので、今は自分発信に力を入れています。

 私の場合はオンライン読書会という形で、定期的に人事系の女性たちと学びの機会を作っています。山登りが趣味なので、山登りグループを作って、往復の電車の中や、山頂までの長いリフトに乗っている間に、ずっとお互い仕事の話をしたりしています。そのような機会が自分を高める刺激になっているように思います。

お互い学び会える、高めあえる刺激的な関係を自ら意識的に作っていくのが、私流です。そのような意識というのは、もう持っている人は持っていると思うのですが、コヤマツさんなどはどうですか。

コヤマツ:どちらかといえば高めるのが好きな性分です。今は若干東洋医学や陰陽五行などに関心があるので、手当たり次第に手を出している状態です。確かに柏さんがおっしゃったとおりに、発信するというのはいいなとは思います。

柏:発信するためには、インプットが必要になるので、本を読むなど自ら現場で情報を取りに行くことも必要です。せっかくこのようなツールがあって、誰でも発信できる世の中になったので、今度は少し視点を変えて、自分を高めるために、戦略的な発信をしたらいいと思います。

倉重:これはnoteに書くしかないです。

コヤマツ:そうですね。

柏:noteというオンライン上のプラットフォームは、気軽に自分から発信できますし、有料コンテンツ化も容易なので、気が付いたことを書くのに良いと思います。

倉重:アウトプットを意識したインプットをやらないと、ただ本を読んでも忘れてしまうので意味がないですよね。

柏:ITツールをどんどん使ってください。本を読む時間がないときは、ウォーキングの時にオーディオブックを聞くようにしています。いい本はやはり3回ぐらいオーディオブックで聞くという時間の使い方もしています。

仕事の密度がオンライン化で一気に濃くなりましたよね。たとえば商談でも対面で会っていた時は、1日3件訪問したら、もうぐったりでした。今は余裕で5件入れられます。その場で資料を共有したり、終了後すぐに要約をメールしたりします。研修を実施するのも私の仕事の一つです。以前は1日1件だったのが、今では1日2本を週に3日などというのも珍しくありません。

そのような時間の使い方を考えると、ただ「勉強になりそうな講演や勉強会に行けばいい」というものではなく、「ゴールを意識したインプット」が出来る人が勝ち組になるのではないでしょうか?

倉重:あとは個人的に意識しているのですが、今は新しい出会いが減っているので、そのような場をあえて積極的につくっています。例えばオンライン飲み会をする時にも、誰か連れてきてくださいと言うだけで、今までに会っていない人と会えます。

柏:新たな出会いは課題です。

倉重:それは意識しないとできないので、できる限り知らない人を連れてきてもらうような会を催しています。

柏:知らない人を連れてきて頂く作戦はいいですね。私の場合、個人でまだまだそこができていないかもしれません。本の出版後、新しいお問い合わせを沢山頂けているので、その一つひとつを大切にしながら、どんどんいろいろなことを教えていただきたいです。製薬業界にも、新薬、ジェネリック、医療デバイスなど、本当にいろいろとあります。その中でも細かく領域が分かれていて、がんの領域や皮膚科の領域など、極めると切りがありません。そのようなもので自分の知見を広げています。

コヤマツさんも、専門性をぐっと広げていって、ブランディングで特化していきます。

倉重:掛け算ですから。

柏:倉重さんはそれが完璧にできていらっしゃるので、私のお手本にしています。だからホームページも拝見します。

倉重:さすがです。ホームページも最近変えたのです。

柏:きれいになって本当にびっくりしました。倉重さんの事務所で働く人も、そのような環境作りは嬉しいでしょうね。「このような発信をしたい」「このような仕事をしたい」というゴールを見極めた発信を、会社もしていくということですね。

倉重:思いを持った人を1人でも増やしていくと。結局誰と話しても同じ話になります。僕はそこに行き着きます。今日本企業で働いている多くの人が、何となく仕事をして、定時までだらだらと働いて「だるい」「休みたい」というような状況です。そのような生活を選択する時期もあっていいと思いますが、ずっとそれでは10年後にはすごい差が付いてしまいます。

柏:差が付きます。管理する側も見えない人たちを管理するのが怖いから、パソコンで今、何をしているのかが全部分かる道具を入れようという、おかしな方向に進んでいます。素晴らしい技術だとは思いますが、もったいないなと思います。

倉重:テレワークでさぼって「バレなければいい」という問題ではありません。如実に差が出てくる場面が10年後、絶対に来ます。

柏:そうです。だから去年の今頃よりも、自分が90歳100歳まで働けるイメージが、この1年で付きました。そこは随分変わったところです。私のお手本は「徹子の部屋」の黒柳徹子さんです。座ったままで研修しても良いのですから、100歳までできると思います。

倉重:いいですね。私も対談王を目指して頑張りたいと思います(笑)

(おわり)

対談協力:柏 恵子(かしわ けいこ)

人材育成コンサルタント・研修講師

株式会社ピグマリオン代表取締役社長

明治大学専門職大学院 グローバルビジネス研究科 経営学修士(MBA)

食品メーカー水産部門での16年間の商社ウーマン時代を経て、2005年米国コンサルティング会社、フランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社入社。シニアコンサルタントとして12年間、2000人以上の経営層、人事責任者と人材育成の仕事に携わる。2017年 株式会社ピグマリオン設立。経営理念の策定・浸透のコンサルテーションおよび営業力強化の研修やワークショップを企業向けに実施。

2021年7月 医薬経済社より「突破せよ!新時代を生き抜くMRの掟」を上梓

雑誌「医薬経済」で「アフターコロナのMR像」を連載中