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【特別対談】プロフェッショナルのキャリアvol.2「女子のキャリア」 森本千賀子×倉重公太朗

倉重公太朗弁護士(KKM法律事務所代表)

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vol.1https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20180730-00091270/

倉重:森本さんとお会いする度にいつも思うんですけれど、森本さんはNHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』でも取り上げられ、やっぱりお仕事も家庭も何でもこなす「スゴイ人」ですよね。朝3時とか4時に起きてメール返信とかするじゃないですか。

 では、これからの社会は仕事も育児も超人的にこなしていくような人じゃないと、活躍できないのか?と思ってしまうんですね。仮にそうであれば一部の「スーパー女子」しか両立できないみたいな話になっちゃうんですけれども、いわゆる一般的な女子がキャリアを築く上でのアドバイスもお願いします。

森本:私も何か特別な何か、例えば能力とかスキルがあるわけではないですよ。例えばキラキラするキャリアの人っているじゃないですか。

倉重:それはあなたですよ(笑)

森本:えー!いや、いや、本当にみんなが羨むような偏差値の高い中学・高校・大学生活を過ごし、留学をして、MBAホルダーで人気企業ランキング上位の会社に入社・・・みたいな、そういうバックグラウンドが私はあるわけじゃないんですよ、本当に。どっちかというと野武士的な。

倉重:たたき上げと言いたいんですね(笑)

森本:たたき上げですよ。私はリクルートの中でも、株式会社リクルートの親会社ではなくて、敢えて子会社に入っているんですよ。それは人材ビジネスやりたかったからなんですが、もう一つ戦略があったのです。私は何で敢えてわざわざそうしたかというと、マイノリティーのほうに価値があると思ったんです。

倉重:「マイノリティーのほうに価値がある」というのはいい言葉ですね。

森本:競合のたくさんいるレッドオーシャンのところに行っても、私は活かされない。実は大学1年生のときにそれを思い知ったんです。

倉重:何でそう思ったのですか?

森本:私、実はすごく田舎の高校だったんですけれども、学年の中でもちょっと英語は得意だったんです。あくまで高校の中では、ですよ。それを強みに活かそうということで、英語学科に入ったんですけれども。

倉重:英語学科に

森本:そうです。入ったんですけれどももう、入学式からすぐ3日ほどで分かったんです。

倉重:早い(笑)

森本:英語の得意な人なんていうのはごまんといて、高校で留学したとか帰国子女とか、こう言っちゃなんですけれども、今さら勉強しなくてももうもうぺらぺらで。

 私はもう一生懸命勉強して、やっと取れる点数が、彼女たちからすると、生きてきた軌跡というか、環境がそうさせたみたいな。

倉重:「普通だよ?」「何もやってないよ?」と言いながらスゴイできるやつですね。

森本:そう。そこで私はもう、あ、この中で私が一生懸命努力しても勝てないなと。自分のバリューとして希少価値にはならないなと思ったわけです。

倉重:すごく本質的なところに気付きましたね、若くして。

森本:大学1年生で気付いちゃったわけです。

倉重:気付いたか〜。

森本:気付いちゃったんですよ、本当に。なので就職活動しているときも、と思っていたので、みんなやっぱり当時というのはキャビンアテンダントとか、英語を活かせるような就職をしていたんですけれども、私はあえて逆で、「女性で営業」。当時、英語学科の学生が絶対狙わないようなドメインを考えた訳です。

倉重:あえて女性で営業。

森本:女性で営業。今こそ多少増えていますけれども、当時は本当に少なくて、女性で営業できるような職場なんてそうそうFなかったんですよ。

倉重:今だったら何でしょうね。

森本:今は実は「女性×管理職」なんです。マイノリティーなドメインというのは、要は需給バランスです。

倉重:なるほど。

森本:需給バランスが大事で、別に少ないからというだけがいいわけではなくて、やっぱり需要がないと意味がなくて、需給バランスが大事です。

倉重:そういう意味だと、今で言えば、建築とかITエンジニアとかもそうですね!

森本:そうです、女性の中だと、女性の理系ですね。リケジョっていうのもまだまだマイノリティーだと思います。

そういう希少価値のあるところでやらせてもらったことが今につながっていて、もう一つ言うと、実は私のこの転職エージェントもそうで、実は人材紹介業というのは厚労省の認可が必要なんですけれども、2017年には2万社超になったんですが、私が多分入った頃というのは多分数百社もなかった時代なんです。

倉重:そんな少なかったですか。

森本:だからそもそもこの業界で20年やっているということが一つのバリューにもなっているという。女性がある意味この中でやっていこうと思ったときには、そういう逆バリ戦略が大事です。

倉重:逆バリ戦略!ブルーオーシャンを行けということですね。

森本:はい。マイノリティー戦略です。求められているのに少ないというところです。だからさっき言った女性×管理職は絶対やっておくべきと思っているんです。

                                         (vol.3へつづく)

対談協力:森本千賀子

1970年生まれ。獨協大学外国語学部英語学科卒。

1993年リクルート人材センター(現リクルートキャリア)に入社。転職エージェントとして、大手からベンチャーまで幅広い企業に対する人材戦略コンサルティング、採用支援サポート全般を手がけ、主に経営幹部・管理職クラスを求めるさまざまな企業ニーズに応じて人材コーディネートに携わる。約3万名超の転職希望者と接点を持ち、約2000名超の転職に携わる。

約1000名を超える経営者のよき相談役として公私を通じてリレーションを深める。累計売上実績は歴代トップ。入社1年目にして営業成績1位、全社MVPを受賞以来、全社MVP/グッドプラクティス賞/新規事業提案優秀賞など受賞歴は30回超。常にトップを走り続けるスーパー営業ウーマン。

プライベートでは家族との時間を大事にする「妻」「母」の顔 も持ち、「ビジネスパーソン」としての充実も含め“トライアングルハッピー=パラレルキャリア”を大事にする。

2017年3月には株式会社morich設立、代表取締役として就任。

転職・中途採用支援ではカバーしきれない企業の課題解決に向けたソリューションを提案し、エグゼクティブ層の採用支援、外部パートナー企業とのアライアンス推進などのミッションを遂行し、活動領域も広げている。

また、ソーシャルインベストメントパートナーズ(SIP)理事、放課後NPOアフタースクール理事、その他社外取締役や顧問など「複業=パラレルキャリア」を意識した多様な働き方を自ら体現。

3rd Placeとして外部ミッションにも積極的に推進するなど、多方面に活躍の場を広げている。

本業(転職エージェント)を軸にオールラウンダーエージェントとしてTV、雑誌、新聞など各メディアを賑わしその傍ら全国の経営者や人事、自治体、教育機関など講演・セミナーで日々登壇している現代のスーパーウーマン。現在、2男の母。

弁護士(KKM法律事務所代表)

慶應義塾大学経済学部卒業後司法試験合格、オリック東京法律事務所、安西法律事務所を経てKKM法律事務所 第一東京弁護士会労働法制委員会外国法部会副部会長、日本人材マネジメント協会(JSHRM)理事 経営者側労働法を得意とし、週刊東洋経済「法務部員が選ぶ弁護士ランキング」 人事労務部門第1位 労働審判等労働紛争案件対応、団体交渉、労災対応を得意分野とし、働き方改革のコンサルティング、役員・管理職研修、人事担当者向けセミナー等を多数開催。代表著作は「企業労働法実務入門」シリーズ(日本リーダーズ協会)。 YouTubeも配信中:https://www.youtube.com/@KKMLawOffice

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