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引っ越し先で「その接種券は使えません」 転居に伴う新型コロナワクチン接種の注意点

倉原優呼吸器内科医
筆者撮影

引っ越しをして4月から新生活が始まる人も多いと思います。さて、転居に伴う新型コロナワクチンの接種券に関していくつか注意が必要です。新しい住所でワクチン接種を受けようと思っている方、手元にあるその接種券は使えないかもしれません。

接種券は原則発行した自治体でしか使えない

現在、多くの人に3回目の接種券が届いていると思いますが、4月から居住する自治体が異動する人は注意が必要です。

手元にある3回目の接種券を引っ越し先で使おうと考えている人も多いかもしれません。しかし、転居前の自治体が発行した接種券を持参しても、接種会場で「この接種券は使えません」と言われる可能性があります。特に飛び込みで集団接種会場に行く場合、注意してください。

理由は、接種券は住民登録がある自治体でしか使用できないためです。同じ市町村内での引っ越しであれば、転居前の接種券はそのまま使用できます。

自治体が異なる接種券は使えない(筆者作成)
自治体が異なる接種券は使えない(筆者作成)

接種券なしでも3回目の接種をしてよいとする自治体もありますが(1)、原則これは自治体に住民登録がある方が対象であり、「後で新しく発行した接種券を持参してください」と柔軟な対応ができる自治体はほとんどないと思われます。

そのため、引っ越し前の自治体で接種券がすでに発行されている場合、引っ越し後の自治体に転入届を提出する際、世帯全員の未使用接種券を持っていくのがよいと思います。

やむを得ず転入届提出時に新しい接種券が申請できなかった場合、以下のウェブサイトあるいは自治体窓口から申請するとよいでしょう。

■追加接種(3回目接種)用の接種券発行申請(URL:https://v-sys.mhlw.go.jp/application/3rd-inoculation.html

住民登録がある自治体以外で接種したい場合

住民票を移さずに別の自治体に住んでいる人、たとえば実家から離れて一時的に下宿している大学生などは、住民登録されている住所に接種券が届きます。

「できれば現在住んでいる自治体で接種をしたい」という場合は、居住地において「住所地外接種届」が必要になります。申請後、「住所地外接種届出済証」が発行されれば、その番号で接種の予約が取れるようになります。

なお、1回目・2回目の接種時に使用した、住所地外接種届出済証は、基本的に3回目では使用できません。あらためて届出が必要になります。

ちなみに、入院している人、往診で接種する場合、職域接種などについては、住所地外接種届の提出は不要です()。

表. 住所地外接種届が必要な場合・不要な場合(筆者作成)
表. 住所地外接種届が必要な場合・不要な場合(筆者作成)

3回目の接種券が届く前に引っ越した場合

2回目の接種後、他の自治体へ引っ越した場合、3回目の接種券が届くところもありますが、必要な書類を自分から申請しなければ接種券が届かないところがほとんどです。6か月以上を経過しても届かない場合、接種券の再発行を申請したほうがよいかもしれません。

また、引っ越しでドタバタしてしまい、いつの間にか接種券をなくしてしまうケースもあります。その場合も、自治体で接種券の再発行が可能です。

過去1回目の接種券が届いたものの、紛失してしまった場合に関しても、再発行が可能です。

■1回目・2回目用の接種券再発行申請(URL:https://v-sys.mhlw.go.jp/application/reissue-coupon.html

■追加接種(3回目接種)用の接種券発行申請(再掲)(URL:https://v-sys.mhlw.go.jp/application/3rd-inoculation.html

現時点で、ワクチンを無料で接種できるのは令和4年9月30日までです。無料施策が延長される可能性はありますが、今から1回目・2回目を接種する場合、3回目に関しては有料になる可能性があります。

(参考)

(1)接種券なしで3回目ワクチン接種は可能か? 今から1回目接種を受けたい場合は 子どもの接種券は(URL:https://news.yahoo.co.jp/byline/kuraharayu/20220223-00283353

呼吸器内科医

国立病院機構近畿中央呼吸器センターの呼吸器内科医。「お医者さん」になることが小さい頃からの夢でした。難しい言葉を使わず、できるだけ分かりやすく説明することをモットーとしています。2006年滋賀医科大学医学部医学科卒業。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医、日本感染症学会感染症専門医・指導医、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医・指導医、インフェクションコントロールドクター。※発信内容は個人のものであり、所属施設とは無関係です。

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