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接種券なしで3回目ワクチン接種は可能か? 今から1回目接種を受けたい場合は 子どもの接種券は

倉原優呼吸器内科医
筆者撮影

現在3回目の新型コロナワクチン接種がすすめられています。諸外国から遅れをとっていることから批判を浴びていましたが、徐々に接種率が上昇してきており、2月23日現在約2000万人が接種している状態です(全体の15.3%)。接種の律速段階の1つになっているのが、「接種券」の送付です。いずれデジタル化されていくことに期待したいところですね。

多くの自治体で「2回目接種から6か月」へ前倒し

3回目接種が決まった当初、医療従事者や高齢者に対して8か月から前倒ししてきましたが、現在多くの自治体において全年齢層で前倒し傾向となっており、若い人も6か月あけて接種することが可能となっています。

ただ、残念ながら自治体の速度には差があり、いまだに2回目接種から7か月・8か月あけなければならないところもあります。

3回目接種の概要は図1のようになっています。

図1. 3回目接種の概要(筆者作成)
図1. 3回目接種の概要(筆者作成)

ワクチンは不足しているのか?

2022年2月末までの接種対象となる高齢者は全国で約2,900万人いますが、高齢者だけで1日150万回程度接種をすすめなければ、この目標達成は厳しそうです。

とはいえ、ワクチン自体は不足していません。とりわけ武田/モデルナ社製ワクチンが潤沢にある状態です。1回目・2回目では8割の人がファイザー社製ワクチンを接種しているため、敢えて異なるメーカーのワクチンを3回目に接種する交互接種を希望する人が少ないというのが現状です。

現在、政府も武田/モデルナ社製ワクチンの活用を啓発しています。その甲斐もあってか、徐々に武田/モデルナ社製の接種回数が増えてきました(1)(図2)。

図2. 2月23日時点の新型コロナワクチン3回目接種回数(参考資料1を元に筆者作成)
図2. 2月23日時点の新型コロナワクチン3回目接種回数(参考資料1を元に筆者作成)

基本的に接種できるワクチンをできるだけ早く打ったほうが得策です。武田/モデルナ社製ワクチンが接種できるのに、敢えてファイザー社製を待つ意味はないと考えます。

ファイザー社製がよいという人は、接種が遅れるリスクを承知の上で予約する必要があります。3~4月まではファイザー社製ワクチンに余裕はあまりないと思われます。

接種券なしで3回目接種ができるのか?

3回目接種にあたり、2回目からの接種間隔が何度か見直されたことで、自治体の対応が追いつかず、接種券がうまく配送されていない地域があります。

これを受けて、2月15日には厚労省から「接種券が接種対象者に到達していない場合であっても追加接種は可能」と通達を出しました(2)。つまり、接種券なしでも3回目接種してよいとするものです。

とはいえ、すべての自治体が接種券なしで受け入れているわけではなく、自治体によって対応が異なります。接種券なしで接種可能ではあったとしても、高齢者に優先的に配分するため、年齢制限を設けている自治体も多いようです。

接種券なしで接種できることは国全体にとっては大きなメリットがありますが、接種券を後で送付・持参してもらい、後日自治体がシステムに手入力する作業は二度手間になります。

なお、接種券なしで3回目接種できるとしても、2回接種していることが証明できなければ接種できません。そのため、新型コロナワクチン接種証明書アプリによる接種証明書や接種済証などによって2回接種したことを証明する必要があります。

3回目の接種券を再発行したい場合は、以下のウェブサイトあるいは自治体から申請するとよいでしょう。

■追加接種(3回目接種)用の接種券発行申請(URL:https://v-sys.mhlw.go.jp/application/3rd-inoculation.html

今からでも1回目接種は受けられるのか?

「これまで新型コロナワクチンを接種していなかったけど、やはり接種したい」という人の話を耳にします。国民の約20%が未接種であり、かなりの数にのぼります。

当院のコロナ病棟にも未接種の方がたくさん入院されてきます。後遺症を残されて退院される方も少なくありません。

さて、今からでも1回目接種は可能なのでしょうか?

はい、大丈夫です。毎日、世の中には12歳の誕生日を迎える子どもがいるため、彼らは現在も1回目接種を開始しています。

過去に届いた接種券が手元になければ、以下の再発行申請ウェブサイトあるいは自治体に問い合わせて再発行してもらうことになります。さすがに1回目接種は接種券なしに接種することはできないようです。

■1回目・2回目用の接種券再発行申請

(URL:https://v-sys.mhlw.go.jp/application/reissue-coupon.html

子どもの接種券は送付されるのか?

5~11歳の子どもにはファイザー社製の小児用ワクチンが用いられ、3週間あけて2階接種されます。「接種を受けるよう努めなければならない」という「努力義務」は適用されていませんが、接種券は基本的に送付されます(4)。

しかし、まれながら送付しないという自治体もあるようで、接種券が手元に届くかどうかは自治体のウェブサイトなどを確認するようお願いします。

2022年3月から本格的に接種が始まるため、すでに発送が開始されている自治体もあります。

子どもの接種(参考資料3より)
子どもの接種(参考資料3より)

まとめ

現在流行しているオミクロン株に対しても、また伝播性が高くイギリスやデンマークで猛威を振るっているBA.2に対しても、2回の新型コロナワクチン接種のみでは経時的に抗体価が減少し、感染予防効果は低下します。

しかし、ファイザー社製や武田/モデルナ社製のワクチンを用いて3回目のブースター接種をおこなうことで、高い予防効果が得られます。

新型コロナがこのまま季節性インフルエンザのように弱毒化してほしいと願っているものの、残念ながら「もう3回目接種は打たなくていいや」で許してくれるほど、このウイルスはまだ人類にとって優しくないようです。

接種できるタイミングが来たら、是非ご検討ください。

(参考)

(1) 首相官邸. 新型コロナワクチンについて(URL:https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html

(2) 高齢者施設等における新型コロナウイルス感染症に係る予防接種(追加接種)に係る 実施の徹底と進捗状況の実態調査への依頼について(URL:https://www.mhlw.go.jp/content/000897968.pdf

(3) 新型コロナワクチン接種についてのお知らせ(5~11歳のお子様と保護者の方へ)(URL:https://www.mhlw.go.jp/content/000896558.pdf

(4) 5~11歳の子どもへの接種(小児接種)についてのお知らせ(URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_for_children.html

呼吸器内科医

国立病院機構近畿中央呼吸器センターの呼吸器内科医。「お医者さん」になることが小さい頃からの夢でした。難しい言葉を使わず、できるだけ分かりやすく説明することをモットーとしています。2006年滋賀医科大学医学部医学科卒業。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医、日本感染症学会感染症専門医・指導医、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医・指導医、インフェクションコントロールドクター。※発信内容は個人のものであり、所属施設とは無関係です。

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