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ユナイテッドアローズの新社長に47歳の松崎副社長が昇格、アルバイト出身。竹田社長は相談役に

松下久美ファッションビジネス・ジャーナリスト、クミコム代表
ユナイテッドアローズの新社長に就任する松崎善則副社長   写真は公式

セレクトショップとして知られる、ユナイテッドアローズの新社長に、松崎善則副社長(47歳)が昇格する。4月1日付。初のCEO職にも就任する。2019年に改訂した新経営理念「真心と美意識を込めて、お客さまの明日(あした)をつくり、生活文化のスタンダードを創造し続ける」を実践し、グループの次世代の成長をけん引し、経営の総指揮を執っていく。

 松崎新社長は1997年に同社でアルバイトを開始し、翌年正社員に登用されたプロパー社員だ。キャリアのスタートは、ユナイテッドアローズの1号店である渋谷店(当時)で、後に店長職や、販売部で販売戦略や店舗営業などを担当。BY(ビューティ アンド ユース ユナイテッドアローズ)本部長等を経て、2012 年 7 月に執行役員、2018 年6月に取締役 常務執行役員に就任。以降、「ユナイテッドアローズ」「ビューティ アンド ユース ユナイテッドアローズ」等、「主にトレンドマーケットにおける複数の主力事業の統括責任者としてグループの成長に貢献してきた」という。最近はOMO(オンラインとオフラインの融合)や、店舗と本部の連携を良化させるためのジョブローテーションの実施なども推進してきた。

 同社は企業の再成長を見据え、グループの将来を担う後継者育成プロジェクト「サクセッションプラン」を実行する中で、将来的な最高経営者の候補者として、2018 年4月に松崎氏を取締役候補者に指名。同年6月22日付で取締役 常務執行役員 第一事業本部本部長に就任。「その経営理念の実現性の高いリーダーシップ等を評価し」、2020 年11 月6日付で取締役 副社長執行役員 第一事業本部 本部長へ昇格し、事業運営に加え経営全般の舵取りを行ってきた。

 商社出身で、入社7年後の2012年から社長を務めてきた竹田光広社長(58歳)は代表権のない取締役相談役に退く。6月の株主総会をもって取締役からも退任し、相談役として同社の成長を見守っていくことになる。「2021年3月期は経常赤字の見通しだが、コロナ禍を乗り越えるための構造改革の断行と 2022年3月期の黒字化に向けての目途が付いたと判断した」と同社は説明する。

 国内外からの品ぞろえ型とSPA型をハイブリッドしたセレクトショップ業態と、「グリーンレーベルリラクシング」「コーエン」などのSPA業態、ハイエンドからトレンド、ボリュームまで幅広いマーケットポジションなど、実はビジネスモデルが複雑なユナイテッドアローズを、そのリーダーシップでどう経営し、再成長軌道に乗せるのか。その手腕に期待したい。

ファッションビジネス・ジャーナリスト、クミコム代表

「日本繊維新聞」の小売り・流通記者、「WWDジャパン」の編集記者、デスク、シニアエディターとして、20年以上にわたり、ファッション企業の経営や戦略などを取材・執筆。「ザラ」「H&M」「ユニクロ」などのグローバルSPA企業や、アダストリア、ストライプインターナショナル、バロックジャパンリミテッド、マッシュホールディングスなどの国内有力企業、「ユナイテッドアローズ」「ビームス」を筆頭としたセレクトショップの他、百貨店やファッションビルも担当。TGCの愛称で知られる「東京ガールズコレクション」の特別番組では解説を担当。2017年に独立。著書に「ユニクロ進化論」(ビジネス社)。

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