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ヘルムート・ラング氏が「サンローラン」と協業 ミニマリストの旗手がファッション業界にカムバックか!?

松下久美ファッションビジネス・ジャーナリスト、クミコム代表
「ヘルムート ラング」1997年春夏コレクション。ケイト・モスも常連モデルだった(写真:IMAXtree/アフロ)

 コロナ禍でデジタルを駆使した2021年春夏コレクションの発表が続く中で、ファッショニスタが喜ぶビッグニュースが飛び込んできた。80~90年代に“ミニマリストの旗手”として人気を誇った「HELMUT LANG」(ヘルムート ラング)の創業デザイナーで、2005年1月にクリエイティブディレクターを辞任してからはアーティストとして活動してきたヘルムート・ラング氏本人が、「SAINT LAURENT」(サンローラン)とコラボレーションしたというもの。「サンローラン」のクリエイティブディレクターを務めるアンソニー・ヴァッカレロが、英ファッションメディア「The Business of Fashion」(ビジネス・オブ・ファッション、BoF)のティム・ブランクスの独占インタビューで明かした。

 ミニマリストでありながらもアバンギャルド(前衛的)な当時の「ヘルムート ラング」にはファンが多く、1997年に発売した「ヘルムート ラング・ジーンズ」は大人気となり、かつて「Dior Homme」(ディオール オム)や「サンローラン」を手がけたエディ・スリマンらにも多大な影響を与えた。

 「BoF」インタビューを読む限りでは、今回の協業はアートワークが中心になりそう。だが、近年、マルタン・マルジェラがデザインしていた当時の「Maison Margiela」(メゾン マルジェラ)や、ラング時代の「ヘルムート ラング」のアーカイブやヴィンテージコレクションを求める人々が増えている。商品が発売されれば大きな話題を呼ぶことは間違いない。

 ちなみに、ブランドとしての「ヘルムート ラング」は1976年にラング氏が設立。1999年にプラダ傘下に。2005年1月にラング氏がブランドを離れ、翌2006年にはファーストリテイリングのグループ会社となったリンク・セオリー・ホールディングス(当時)が買収。現在はファストリの100%子会社のリンク・セオリー・ジャパン傘下で事業展開をしている。

ファッションビジネス・ジャーナリスト、クミコム代表

「日本繊維新聞」の小売り・流通記者、「WWDジャパン」の編集記者、デスク、シニアエディターとして、20年以上にわたり、ファッション企業の経営や戦略などを取材・執筆。「ザラ」「H&M」「ユニクロ」などのグローバルSPA企業や、アダストリア、ストライプインターナショナル、バロックジャパンリミテッド、マッシュホールディングスなどの国内有力企業、「ユナイテッドアローズ」「ビームス」を筆頭としたセレクトショップの他、百貨店やファッションビルも担当。TGCの愛称で知られる「東京ガールズコレクション」の特別番組では解説を担当。2017年に独立。著書に「ユニクロ進化論」(ビジネス社)。

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