レナウンの会長、社長を解任、株主総会で筆頭株主の中国企業が再任否決、これを機に業界団体の改革にも期待
レナウンの北畑稔会長と、昨年5月に昇格したばかりの神保佳幸社長が、26日開催の定時株主総会で、解任されたと日本経済新聞が報じた。株式の過半数(53%)を持つ中国・山東如意科技集団が反対し、取締役再任議案が否決されたという。
「レナウン」「ダーバン」「アーノルドパーマー」や、英国「アクアスキュータム」を買収して一斉を風靡したこともあるかつてのアパレルの盟主・レナウン。山東如意が筆頭株式になったのは、ちょうど10年前の2010年のこと。リーマンショックもあり業績が低迷していた際に、不採算事業を整理して主力事業に傾注したり、山東如意の後ろ盾を得て巨大市場・中国での事業拡大を目指したが、商品や商慣習が合わずに失敗に終わった。
19年2月期の売上高は636億円(前期比4.1%減)、営業損益が25億円の赤字、純損益が39億円の赤字だったものが、19年12月期(決算期変更に伴う10カ月の変則決算)では、売上高が502億円、営業損益が79億円の赤字、純損益が67億円の赤字と、赤字幅が広がっていた。
ただ、最終赤字額が広がったのは、山東如意の香港子会社(恒成国際発展有限公司)から売掛金53億円が回収できずに貸倒引当金を計上したためだ。なんとも不可解さ、理不尽さは否めない。
ちなみに、レナウンの北畑会長は、一般社団法人・日本アパレル・ファッション産業協会(通称・アパ産協)の理事長でもある。厳しい時代の中にも成長を遂げる企業がある中で、大企業(ともはや言えるかは疑問だが)が持ち回りで理事長を決めるような協会のあり方には苦言を呈したい。北畑氏は会長解任とともに、アパ産協の理事長からも降りると思われる。
さらなる難局を迎えるポスト・コロナ時代にアパレル・ファッション業界が魅力を高め、サステナブル(持続可能)になるためには、世代交代も含めて、大ナタを振るって大改革することが必要不可欠になる。