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「ZARA」がロゴを刷新 タイポグラフィーの時代到来!

松下久美ファッションビジネス・ジャーナリスト、クミコム代表
「ZARA」がロゴを変更。優雅さと強さが備わりアイコン的なイメージが強まった

・ファビアン・バロン率いるBaron&Baronがデザイン

・ラグジュアリーブランドのサンセリフ体化に一石投じる

・Supremeからギャルソンまでタイポグラフィーに注目集まる

 世界No.1のアパレル企業、インディテックスは基幹ブランド「ZARA」のブランドロゴを2019年から変更する。1月下旬の春夏コレクション投入のタイミングで、ウェブやタグ、下げ札などが新ロゴに変わっている。今回のロゴ変更は、1975年に1号店を出店してから2度目で2010年以来の変更になる。今後は店舗などを含めて、順次、新タイプに刷新していく。

 デザインを手がけたのは、仏出身の大御所アートディレクター、ファビアン・バロン(Fabien Baron)が率いる広告代理店、「Baron&Baron」(バロン&バロン)だ。1990年代にファッション誌「Harper’s Bazaar」(ハーパースバザー)で使われたタイポグラフィーで、ZARAの文字の曲線が強調され、文字の太さに変化をつけて繊細さと強さを融合させた点と、文字を重なり合うように配したことで、アイコン的な意味合いが強まっているのが特徴だ。

 Baron&Baronはウェブサイトで「ZARA」のルック画像やムービーなどを紹介しながら、両者のパートナーシップについて、「すべての人々のためにアートとファッションをたたえながら、優雅さと鋭利さを融合させるアプローチによって、小売業をコンテンポラリー・ラグジュアリーの域まで引き上げる」と説明している。

 翻って、ファッション業界ではエディ・スリマンがクリエイティブ・ディレクターに就任してすぐに変更した「SAINT LAURENT」(サンローラン)に続き、昨年着任した「CELINE」(セリーヌ)でもサンセリフ体のフォントを使用。大人のストリートラグジュアリーブームをけん引するデムナ・ヴァザリアによる「BALENCIAGA」(バレンシアガ)や、リカルド・ティッシが参画した「BURBERRY」(バーバリー)、オリヴィエ・ルスタンの「BALMAIN」(バルマン)、さらには、LVMHモエ ヘネシー ルイ・ヴィトンを率いるベルナール・アルノー会長兼CEOの子息でアントワン・アルノーCEOが手がける「BERLUTI」(ベルルッティ)までサンセリフ体へと変更している。

 デジタル化に伴い、さまざまなメディアでロゴを目にする際に、サンセリフ体はクリーンで読みやすく、特にオンライン上で見やすいという特性がある。一方で、同質化していると指摘されるケースも増えており、賛否両論が飛び交っている。

 いずれにしろ、ロゴに注目が集まっていることは間違いない。特に、「Supreme」(シュプリーム)のボックスロゴやロゴモチーフのアイテムを筆頭に、タイポグラフィーがデザインのトレンドとして急上昇している。「COMME des GARCONS」(コム デ ギャルソン)でもタイポグラフィーを使用したアイテムが増えており、しばらくタイポグラフィーの話題が続きそうだ。

 そんな中での「ZARA」のロゴ変更は、タイミングが抜群だ。ファッションだけでなく、デザインやマーケティングのトレンドを捉える力の高さも感じさせられる出来事である。

ファッションビジネス・ジャーナリスト、クミコム代表

「日本繊維新聞」の小売り・流通記者、「WWDジャパン」の編集記者、デスク、シニアエディターとして、20年以上にわたり、ファッション企業の経営や戦略などを取材・執筆。「ザラ」「H&M」「ユニクロ」などのグローバルSPA企業や、アダストリア、ストライプインターナショナル、バロックジャパンリミテッド、マッシュホールディングスなどの国内有力企業、「ユナイテッドアローズ」「ビームス」を筆頭としたセレクトショップの他、百貨店やファッションビルも担当。TGCの愛称で知られる「東京ガールズコレクション」の特別番組では解説を担当。2017年に独立。著書に「ユニクロ進化論」(ビジネス社)。

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