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日本橋高島屋S.C.が開業へ 「お客さまニーズの集大成」と木本社長

松下久美ファッションビジネス・ジャーナリスト、クミコム代表
高島屋の木本茂社長。「お客さまニーズを集大成」したと自信を見せる(筆者撮影)

 高島屋は9月21日、25日に新館を開業するのに先駆け、「日本橋高島屋S.C.」をお披露目した。百貨店建築として日本初の重要文化財である本館(日本橋高島屋)を残しながら、隣接地に新館(地下1~地上7階)を開発。今春開業した東館と、2015年に開業した「ウオッチメゾン」の4館を一体運営していく。

 木本茂社長はメディア向け会見で、以下のように語った。

「まちづくり戦略」を推進、お客さまニーズの集大成として個性ある4館を一体運営する

 高島屋はグループ総合戦略「まちづくり戦略」を推進している。「日本橋高島屋S.C.」はまさにこの戦略を具現化するもの。グループの総力を挙げて顧客満足を追求していく。

 そこには2つの考え方がある。それぞれの地域において、人々が集う街のアンカーとしての役割を担うこと。館を街そのものに見立てて、品ぞろえやサービス、環境などで、街歩きのようなワクワク感を提供することだ。

 高島屋日本橋店は1933年に開業し、今年で85周年の節目の年を迎える。2009年には百貨店建築として初めて重要文化財に指定され、2015年にはウオッチメゾン館をオープンするなど、常にマーケットに新しい発信をしてきた。今春には東館にポケモンセンターがオープン。創業の地に20年ぶりに戻り、カフェ併設で新しい賑わいを創出している。

 いよいよ115店舗を集めた新館と、本館1階ガレリアがオープンすることで、新都市型ショッピングセンターが誕生する。

 新館と本館の間にはガラスの大屋根がかかり、「日本橋高島屋S.C.」のシンボリックな存在になることを期待している。本館も百貨店としての魅力に磨きをかけるべくリニューアルしてきた。百貨店とショッピングセンター、おのおのの個性を出しながら、いかに融合するか。百貨店の編集力と、流行をとらえた感度の高い新館とで、一日中楽しんでいただけるようにした。

 新館には最も旬な専門店を集積した。たとえば、日本橋で生活している方々のプロムナードとして朝7時半からオープンする人気のベーカリーやカフェ、出勤前にリフレッシュしてもらえる女性専用のヨガスタジオも入れた。

 オフィスワーカーからニューファミリーまで、世代を超えて幅広い方々に立ち寄ってもらえる店を目指している。心地よいサービスの提供など、施設運営面でも本館と新館、東館、時計専門館ウオッチメゾンを融合し、シームレスに一体感のある商業施設として運営していく。

 百貨店を取り巻く環境は平坦(へいたん)ではないが、日々お客さまの声に耳を傾けてお応えしていくことが重要だ。その姿勢こそが当社が大切にしていることで、百貨店とショッピングセンターを融合したこの店は、今のお客さまのニーズの集大成だ。来春には東館に車寄せも完成する。今回の開業に合わせて、街のアンカーとして地域と共創していく所存だ。

ファッションビジネス・ジャーナリスト、クミコム代表

「日本繊維新聞」の小売り・流通記者、「WWDジャパン」の編集記者、デスク、シニアエディターとして、20年以上にわたり、ファッション企業の経営や戦略などを取材・執筆。「ザラ」「H&M」「ユニクロ」などのグローバルSPA企業や、アダストリア、ストライプインターナショナル、バロックジャパンリミテッド、マッシュホールディングスなどの国内有力企業、「ユナイテッドアローズ」「ビームス」を筆頭としたセレクトショップの他、百貨店やファッションビルも担当。TGCの愛称で知られる「東京ガールズコレクション」の特別番組では解説を担当。2017年に独立。著書に「ユニクロ進化論」(ビジネス社)。

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