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日経平均株価はピークアウトしたのか

久保田博幸金融アナリスト
(写真:森田直樹/アフロ)

 日経平均株価の日足チャートをみると、ダブルトップを形成し、いったんピークアウトしたようにもみえる。

 日経平均の過去最高値は今年3月22日のザラ場中に付けた41087円75銭となっている。引け値では同日の40888円43銭。

 3月7日には40472円11銭まで上昇し、その後いったん戻り売りに押されたあと切り返して、22日にピークを付けた。その後、戻り売りに押され17日には38000円近くまで下落した。

 米国株式市場でも、ダウ平均は3月21日に4万円に接近したが、ここでピークアウトした格好となっていた。このため、日経平均はこのダウ平均の動きに大きく影響されていた可能性がある。

 日経平均が目先ピークアウトしたのかどうかは、このダウ平均がやはりピークアウトしたかどうかに掛かってこよう。

 ダウ平均のチャートをみると、やはりダウントレンドを形成していることがうかがえる。ここで完全にピークアウトとなったのかどうかはわからない。しかし、上昇トレンドが変化していたことはたしかである。

 その背景には、期待していたFRBの利下げが次第に遠のいてきていたことがあげられよう。

 16日にパウエルFRB議長は、インフレ率の高止まりが続けば現在の高い政策金利を長く維持する可能性があると言及していた。

 年内複数回の利下げを期待していた市場だが、年内無しかとの見方も出てきた。年末に向けては大統領選挙も控えており、FRBが動きづらくなる可能性がある。

 通常であれば、大統領選に向けてFRBに利下げ圧力が掛かりやすい。しかし今回の大統領選において物価高による影響が争点のひとつとなりかねず、今回の大統領選はかならずしも利下げを求めてくるとは限らない。

 ただし、FRBが利下げに躊躇しはじめた理由が、粘着性の高い物価高とともに、景気の底堅さもある。これから見る限り、ここでダウ平均が完全にピークアウトしたとも言い切れない面もある。

 調整らしい調整もなかっただけに、ここでいったん本格調整が入ったあと、再び切り返してくるとの見方もできよう。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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