ドル円が160円を抜けたタイミングでの介入か
昭和の日の休日で東京市場が休場だった4月29日に、ドル円は一時160円24銭と1990年以来の高値を付けた。長期チャートをみるとここを抜けると260円あたりまで節目らしい節目がなくなる。
ユーロ円は171円60銭と2008年に付けた最高値の169円77銭を抜いて、過去最高値を更新した。こちらは上値の節目がなくなった。
市場ではドル円の160円、ユーロ円の170円を試しにきた格好となり、日本の当局の動きを探ろうとしたような動きとなった。
市場介入を行うかどうかは財務省が決定し、日銀が売買を行う。介入の有無は財務大臣の了承を得た上で、財務官がタイミングを判断して指示し、実行部隊が日銀となる。
ドル円とユーロ円が節目を抜けたあと、29日の13時あたりでドル円・ユーロ円ともに急落となった。動きからみて介入の可能性が高い。
神田財務官は介入の有無については「ノーコメント」としており、覆面介入といった格好になった。
ドル円は一時155円台に急落(ドル安円高)、その後157円台に戻ったあたりで、16時頃に再度まとまったドル売りが入り、ドル円は16時半頃に154円50銭近辺まで下落したのである。
ユーロ円も同様に29日の10時半あたりに171円60銭の高値を付け、13時と16時に急落し、165円60銭と6円もの急落となっていた。
動きからみて介入であった可能性は高い。チャートも当然意識されていたと思われる。しかし、円安の根本的な原因が解消されない限りは、介入だけで円安にブレーキを掛けることには無理がある。
米国の景気の底堅さや物価の粘着性によって、FRBの利下げ観測が後退し、それが米長期金利を上昇させている。
それに対し日銀は再び柔軟性を失ったかのような状態に戻ってしまった。
日銀は利上げにはまだ時間が掛かっても、国債買入を4月からの国債減額分ぐらいは減少させても、国債需給にはさほど影響は出ないであろう。
国債買入の減額の可能性を市場に示すことで、過度な円売りにブレーキも掛けられたはず。どうしてそれをしなかったのか。いやできなかったのであろうか。