来年前半でのマイナス金利政策解除の可能性
日経新聞の電子版に「マイナス金利解除、日銀が地ならし ショック回避探る」との記事が掲載された。
この記事によると、「日銀は春季労使交渉や個人消費などの動向を見極め、早ければ2024年前半にも解除を判断する」とある。
その根拠のひとつとして、「10月下旬、日銀が水面下で金融機関に依頼したある調査」を挙げていた。その調査結果は12月にも公表されるそうで、それをみなければ何が根拠になるのかはわからないが、なかなか興味深い調査であった模様。
もうひとつの根拠として、マイナス金利政策解除時期についてQUICKの月次調査(11月、外国為替市場)を挙げている。この調査によると、マイナス金利政策解除時期は「2024年4月」との回答が32%と最多で「2024年1月」も20%に上ったとある。
ちなみに、QUICKの月次調査(11月、債券市場)では、2023年以内が3%、2024年1~3月が42%、2024年4~6月が39%となっており、6月までに8割程度、解除があると見込んでいる。
マイナス金利解除については、この記事にもあったように、解除は「0.1%の利上げ」に相当するとの内田真一副総裁の以前の発言を出してきたように、日銀が頑なに拒んでいる金融政策の向きを変えることとなる。
その背景には官邸が絡んでいるとされ、そうなれば、賃金云々もあるが、政治次第という側面がある。植田総裁は現政権から「当面は金融政策の転換と受け止められる動きは避けるように」と釘を刺されていたとも報じられていた。
岸田政権の支持率低下などが日銀への働きかけにどう影響するのか。政治であるので、はっきり言って良くわからない面もある。
しかし、今回のこの日経の記事のなかで、あれっと思う箇所があった。
ある日銀関係者が、ビハインド・ザ・カーブのリスクが出てきたと警戒。別の関係者は、永遠に先延ばしはできない。解除後の金融政策の進め方も内部では当然検討はしていると話していたのである。
これが果たして、以前のメディアに出ていた「事情に詳しい複数の関係者」たちなのであろうか。もしそうであれば、確かに動きがある可能性がある。しかしそうでなければそれで別の見方も必要になってくるように思われるのである。