リフレ的な発想が通用しなくなってきており、日銀も発想を変える必要がある
岸田文雄政権の内閣支持率が発足後最低の33%に下落した。2000年以降で30%台半ばになった歴代政権はその後支持率が続落し退陣するなど岐路を迎えてきた。首相自らが打ち出した所得税減税が下落の引き金となっており、政権運営は難局に差し掛かる可能性がある(30日付日本経済新聞)。
支持率の33%というのは2021年10月の政権発足後、最低となり、9月の前回調査から9ポイント低下していた。
首相が表明した物価高対策としての所得税減税を「適切だとは思わない」は65%と「適切だと思う」の24%を大きく上回っていた。
岸田文雄首相は26日の政府与党政策懇談会で、物価高による国民負担を緩和し、デフレ脱却を確実なものにするための一時的な措置として所得税・個人住民税の減税をするのが最も望ましいと指摘していた。
物価高対策とデフレ脱却(物価上昇策)を確実なものとするとの発言は矛盾している。これは政権が日銀に対する姿勢も同様であり、物価高にもかかわらず非常時緩和を続けるように要請している。
日銀の大胆な金融緩和と政府による大規模な経済対策でデフレ脱却を行うとしたアベノミクスを継承しているような格好ながら、すでに日本の物価は2%を超えて推移し続けている。さらに政府債務も膨らみ続けている。
税収増となればそれは債務の返済に使い、少しでも財政健全化を進める必要がある。それを減税などで還元してしまうと、債務は減るどころかむしろ増加してしまうことも考えられる。
物価が上昇してきたことですでにMMTと言う言葉を使う人がいなくなったが、リフレ的な発想がすでに通用しなくなってきていることに為政者が気が付いていないように思われる。これは与党ばかりでなく野党もしかり。
ここで発想を変えていかないといけないのは何も為政者だけでなく、以前のトルコのような金融政策を行っている日銀も同様であろう。
日銀の政策委員もそろそろ自分たちがおかしな政策に加担していることを認識したほうが良いのではなかろうか。ここにきて内閣支持率の低下は減税が遅いとかいうのではなく、減税策そのものに対して国民が疑問を持ち始めた部分が大きいと思う。日銀は方向転換をして現政権から距離を置くなりしないと、現政権とともに批判を受けかねないと思うのだが。