4月の決定会合の主な意見には、国債買入減額に関する意見も出ていた
日銀は9日、4月25、26日に開かれた金融政策決定会合の主な意見を公表した。
物価に関する議論では、「円安と原油高は、コストプッシュ要因の減衰という前提を弱めており」とか、「足もとの円安と原油価格等の上昇が、輸入物価を通じて企業物価へ波及しつつある」など円安による影響に関する発言が目立っていたようにみえる。
また、「金融政策運営に関する意見」では日銀の国債買入に関する意見がいくつかみられた。
「長期国債の買入れについては、イールドカーブ・コントロール解除後の市場の状況を見ているところであるが、どこかで削減の方向性を示すのが良い。」
「国債保有量の正常化、過剰な水準にある準備預金の適正化という観点から、日銀のバランスシートの圧縮を進めていく必要がある。」
「国債の需給バランスを踏まえ、市場機能回復を志向し、現状6兆円程度の毎月の長期国債買入れを減額することは選択肢である。」
こういった意見をもう少し反映させて、4月の会合での国債買入で柔軟化を進めることもできたのではなかろうか。
日銀が保有しているETFやREITの処分の仕方にも意見が出ていた。
「市場動向を踏まえると、保有するETFやJ-REITの取扱いについても具体的議論ができる環境になりつつあると考えられる。」
「本行保有ETFの取扱いを検討するにあたり、その処分方法が株式市場の機能に与える影響や市場に及ぼすインパクトの大きさ等を考慮する必要がある。したがって、簡単な解決策はないが、仮に長い時間がかかっても方向としては残高をゼロにしていくべきである。」
当然の意見ではあるものの、「残高をゼロにしていくべきである」との意見まで出せる環境になったことも確かであろう。
4月26日の決定会合の結果だけ見ると総裁会見を含め、まったく変化なしにしかみえていなかっただけに、これらの意見がもう少し反映されても良かったのではないかと思う。それで多少なり円安にブレーキも掛けられたはずである。
円安に関しては、内閣府から「世界経済の不確実性や円安による家計購買力への影響には注意が必要である」との意見が出ていたのには意外感があった。
会合二日目の内閣府からの出席者が、新藤義孝経済財政政策担当大臣であり、日銀は動くなよ、とのお目付役ではなかったかと勝手に想像していたためであった。