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英国は0.25%でなく0.5%の利上げ、あのトルコも利上げに転換、どうする日銀

久保田博幸金融アナリスト
(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 英国の中央銀行、イングランド銀行は22日、3会合ぶりに0.5%という大幅な利上げを決定した。13回連続の利上げとなり、0.5%の上げ幅はことし2月以来、3会合ぶりとなる。

 英統計局が21日発表した英国の5月の消費者物価指数は前年同月比8.7%の上昇と伸び率は前月比横ばいで、鈍化しなかった。物価が高止まりしていたこともあり、0.5%の利上げも市場ではありうるとみていた。ただし、これを受けてFRBやECBの利上げ継続もあらためて意識された。

 そしてついにトルコも動いた。トルコ中央銀行は22日、主要政策金利(1週間物レポ金利)を年8.5%から15%に引き上げると決めたのである。

  5月 28 日トルコで行われた大統領選挙の決選投票では現職のエルドアン氏が、野党6党連合の候補であるクルチダルオール氏を振り切って勝利した。

 エルドアン大統領は2代前のアーバル元総裁を任期途中で突然更迭し、中銀はその後、世界の主要国や新興国がインフレ退治の引き締めを進めるのと逆に計10.5%の利下げを続けた。

 その結果、インフレが進み、足元の消費者物価指数は前年同月比39.6%に上昇し、通貨リラへの下落圧力ともなり、これがさらに物価高を招く悪循環となっていた。

 エルドアン大統領は就任後、中央銀行の新総裁にハフィゼ・ガイ・エルカン氏を指名した。総裁を2年余り務めたカブジュオール氏の後任となる。

 トルコ中央銀行は6月に就任したエルカン新総裁の下でこれまでの緩和方針を転換した格好となるが、これはエルドアン大統領がまともな金融政策は何かということを気が付いたからとかいうわけではないようである。

 トルコ中銀の純外貨準備高が5月、2002年以来となるマイナス圏に沈んだことが大きかったとみられる。

 理由はどうあれ、異様な金融政策を展開していたトルコも方針を変更した。利上げ幅は予想されたものよりも小さいあたりはやや気になったが。

 異様な金融政策を実施しているのは何もトルコだけではない。その国も物価上昇が続き、通貨安も進行している。その国の中央銀行は、金融政策の緩和からの方向転換ができるということすら見せないようにしており、異様さはトルコと同様、いやそれ以上となっているのであるが、どうする日銀。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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