日経平均株価が1990年8月1日以来、約33年ぶりの水準に上昇したのだが
19日の東京株式市場は、日経平均株価は前日比234円42銭高の30808円35銭。1990年8月1日以来、約33年ぶりの水準を付け、バブル経済崩壊後の最高値を更新した。
日経平均の過去最高値といえば、1989年12月29日、年内最後の取引日「大納会」で付けていた。いわゆるバブルのピークであった。引け値では38915円87銭、取引時間中の高値は38957円44銭となっていた。
株価指数は景気を示す指標のひとつともされる。それが33年ぶりの水準に上昇してきたということはどういうことなのであろうか。
政府は5月15日午前に開いた経済財政諮問会議で、金融政策・物価等に関する集中審議を行い、政府側はデフレ脱却には物価や賃金の上昇が持続的・安定的なものとなるか関連指標をきめ細かくみることが必要との論点を示した。
このなかの「デフレ脱却」という言葉の使い方には極めて違和感がある。「デフレ」という言葉を使うことによって、日本経済の弱さを示している感もあるとともに、そもそも現在の状況を「デフレ」としていることにかなりの無理がある。
日本での物価指数をみても、デフレどころかインフレの状況となっている。さらに経済実態も日銀による異次元緩和を必要とするような事態に陥っていない。むしろ、異常な緩和が、1880年代のバブル期と同様に株価指数を異様に持ち上げている可能性すらありうるのである。
そうでなければ、この状況下で日本の株価指数が33年ぶりの水準に上昇してきたことを説明することが難しい。
米国では米債務上限問題を巡る問題やら、地銀などの経営による金融不安、さらにはその原因ともいえるFRBの積極的な利上げによるリセッション懸念などが、不安要素として取り上げられている。この不安要素があるから日銀は異次元緩和すら修正に躊躇しているような状況にある。
これはいろいろと理由をこじつけて、現在の緩和策をなるべく維持させ、これまでの緩和の付けは払いたくないというのが日銀の姿勢にも見えてしまう。これによって放漫財政も可能にさせている。
岸田文雄首相は経済財政諮問会議で「政府・日銀が密に連携を図りつつ、マクロ経済運営を行う重要性が高まっている」とも強調したが、いったいどのような連携を視野に入れているというのであろうか。