米国で再びデフォルトの懸念
イエレン米財務長官は連邦債務を上限未満に維持するための特別会計措置について、早ければ6月初旬に使い切る可能性があると米議員らに伝えた(2日付ブルームバーグ)。
米国債の発行根拠法は、合衆国憲法(第1条第8項)に基づいて連邦議会が定めた第二自由公債法となる。同法において、国債残高に制限額を課して、その範囲内であれば自由に国債を発行し資金調達できるとされている。
米国での国債は、日本のように単年度の予算における歳入・歳出の差額を埋めるという単年度主義の観点からではなく、その時々における国庫の資金繰り上の必要性から発行される。
議会が定めた法律に基づいて発行される形式は日本も米国も同様だが、日本は年度の予算という形式をとっているのに対して、米国は連邦議会が定めた第二自由公債法において、国債残高に制限額を課して、その範囲内であれば自由に国債を発行し資金調達できる形式となっている。
これはつまり、連邦債務残高が上限を超過した場合には、限度額を引き上げない限り、新規の米国債発行ができなくなるルールとなっている。
連邦債務残高は今年1月に31兆4000億ドル(約4320兆円)の現行法定上限に到達し、財務省はそれ以降、デフォルト(債務不履行)回避のための特別措置を講じている。
バイデン大統領は複数の議会指導者に電話をし、債務上限問題を話し合う9日の会合に招いた。ホワイトハウスが1日に発表した(2日付ブルームバーグ)。
仮にデフォルトと、本当に国債の償還や利払い資金が賄えないのではなく、あくまで手続き上の問題でもある。過去にも同様の事態が起きたが米債の動揺は限られていた。
今回も同様にデフォルトとなる懸念はあるものの、どこかで折り合いを付けることも予想され、米国債がデフォルトを理由に急落することは考えづらい。しかし、解決するまでは不安定リスクとして認識されることも予想される。