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三菱UFJ銀行が24時間ATMを年度内に終了か。ニーズの低下によるコスト削減が狙い

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 三菱UFJ銀行は2023年度中にも、ATMの24時間稼働を終了する。東京や大阪、愛知など都市部を中心に全国98拠点でATMを24時間利用できるようにしているが、今後は原則として、稼働時間を最長でも午前6時から翌日の午前0時までの18時間に短縮する方針だと2日の日本経済新聞電子版が報じた。

 これによると三菱UFJ銀行のATMの拠点数は21年3月時点で全国1759か所あるが、このうち全国98拠点でATMを24時間利用できるようにしている。このうち今年9月までに91拠点で、年度内には残る7拠点でも、24時間稼働を終える見通し。

 キャッシュレス化が進んでいることに加え、コンビニエンスストアで24時間使えるATMが増えたこともあり、コスト削減のため、ATMの24時間稼働を終了する。

 いまのところほかのメガバンクはATMの24時間稼働を当面続ける方針だそうだが、いずれ三菱UFJ銀行に続いて、ATMの24時間稼働を終了するとともに、稼働時間そのものを短縮する動きが拡がる可能性がある。

 24時間稼働のATMは東京や神奈川、愛知、大阪などの支店や、店舗外では駅前や空港にあるそうだが、私の住んでいるところでは、24時間稼働のATMどころか、三菱UFJ銀行などメガバンクのATMまでクルマで何十分もの距離があり、主にコンビニのATMを利用せざるを得ない。

 ATMの24時間稼働の割合が利用件数は全体の0.1%程度にとどまるとしても、例えば空港などの利用ではどうのであろうか。

 それでも深夜に現金を必要とされるケースはそれほど多くはないことも確か。買い物程度だとクレジットカードと連動した電子マネーを使うなどすれば問題はないのではなかろうか。キャッシュレス化が進むことにより、現金を使わなくて済む方法も多様化していることもたしかである。

 いずれにしても地方都市などでは24時間稼働などなく、すでにコンビニエンスストアのATM利用も多いとみられる。都心などでの24時間稼働のATM稼働停止による影響も一部に限られることが予想される。

 「24時間戦えますか」というのが昭和の流行語にあったが、銀行のATMは24時間戦うのではなく働かなくても良くなりそうである。これから人手不足も深刻化するようになると24時間営業そのものも収縮してくる可能性があるのではなかろうか。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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