絶好調に見える10年国債の入札が何故、無難と判断されたのか。財政ファイナンス化しつつある10年国債
3月2日に実施された10年利付国債の入札は、最低落札価格、平均落札価格ともに100円00銭となった。通称はテールと呼ばれる価格差が出るケースが多い。応札倍率は7.55倍と2005年2月以来、18年ぶりの高さとなった。この結果を見る限り、極めて好調な結果とみえるが、この結果は「無難」とされた。
今回入札された10年国債の利率は0.5%、369回債のリーオープンとなる。利率が0.5%で落札価格が100円というのは利回りが0.5%となる。
最高落札利回り(最低落札価格)での入札のうちの落札割合を示す案分比率は31%。これを基に計算すると、0.5%での応札額は7兆円強になる。残りの10兆円程度が日銀許容上限0.5%を上回る入札だったもようだ(2日付ブルームバーグ)。
つまり入札には0.5%ちょうどかそれ以上の利回りでの応札があったということになる。上記のブルームバーグのマジでは事前予想の最低落札価格は99円99銭であったという。
すでに市場参加者は日銀による長期金利コントロールの修正もしくは撤廃を見込みつつある。さらに日銀は0.5%で指値オペを行っている。その結果として、10年国債の落札価格が0.500%ちょうどの100円00銭となっただけで、これは無難な結果とされた。
そしてこの日、日銀は無制限毎営業日連続の指値オペで、10年367回、368回、369回を1兆7698億円買い入れている。すでに367回、368回の市場での流通量はゼロに近く、そのほとんどは今回発行された2.7兆円規模の369回債となる。つまり、当日入札された10年369回の65%を日銀が国債買いオペが購入してしまったということになる。
日銀の意図が何が何でも10年債を0.5%に抑え込んでやるという政策によるものではあるが、結果としてこれはどうみても財政ファイナンスみたいにみえるのだが。