1990年以来の本格的な長期金利上昇局面入りか
長期金利とは10年国債の利回りのことを示す。現物国債は店頭取引が主体であり、相対で売買されるため、その居所は掴みにくい。このため、長期金利として利用されているのは、業者同士が売買している日本相互証券で売買された10年国債の利回りとなる。
日本相互証券での売買状況はその端末を持っているところであれば、その板を見ることはできる。ただし、どの業者が売り買いを出しているのかは表示されず、あくまで利回り別の数量のみ表示されている。
国債の取引が本格的に行われるようになったのは1985年からとみている。この年に債券先物が上場され、銀行の国債のフルディーリングが認可されたためである。
債券ディーリングが活況となり、仕掛的な動きも出て1987年5月に当時の指標銘柄とされる10年の89回債が当時の政策金利である公定歩合に接近した、当時の公定歩合は2.5%、89回債の利回りは2.55%に低下した(一説には2.50%を付けたとも)。
ここがボトムとなって、その後の10年債利回りは上昇基調となる。当初は89回債だけ突出して低かったものが修正され、その後タテホショックなども経て、長期金利は5%を挟んでの上げ下げとなった。
そして1989年あたりから長期金利は上昇基調となる。この年の5月に日銀は公定歩合を3.25%に引き上げ、その後も引き上げを継続し、1990年8月には6%にまで引き上げた。
この結果、長期金利も上昇し、1990年9月頃には8%台を付けて、このあたりがピークとなった。
実は債券取引が活況となってからの長期金利の本格的な上昇はこのときだけであった。その後も運用部ショック、VaRショックと呼ばれた一時的な国債急落場面はあったが、トレンドが変わったわけではなかった。
1986年あたりからの長期金利のグラフを見る限り、今回が本格的な上昇局面となっていることが窺える。
1989年から1990年にかけての長期金利上昇を経験している人はいまの現場にはほとんどいないのではなかろうか。
1999年あたりからは長期金利は2%あたりまでは上昇していた。そして2016年からはゼロ近傍となる。
そして2019年あたりをボトムにじりじりと長期金利は上昇してきているのである。