Yahoo!ニュース

12月のコアCPIは前年同月比4%の上昇、2022年通年では2.3%の上昇に

久保田博幸金融アナリスト
(写真:つのだよしお/アフロ)

 総務省が20日に発表した2022年12月の消費者物価指数は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が104.1となり、前年同月比で4.0%の上昇となった。第二次石油危機の影響で物価が上がっていた1981年12月の4.0%以来、41年ぶりの上昇率となった。

「2020年基準 消費者物価指数 全国 2022年(令和4年)12月分」総務省 https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html

 総合指数は2020年を100として104.1となり前年同月比は4.0%の上昇、生鮮食品を除く総合指数(コア)は104.1となり前年同月比は4.0%の上昇、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコア)は102.1となり前年同月比は3.0%の上昇。

 原材料高や円安の影響で価格転嫁が進む食料の伸びが拡大した。ハンバーガーなどの外食やあんパンなどの穀類、食用油などの値上げによる影響が大きい。都市ガス代や電気代を中心にエネルギーも上昇に寄与。携帯電話機の価格上昇なども影響した。

 確かにコストプッシュ型の物価上昇ではあるが、だからといって日銀の物価目標値の2%の2倍ともなっているにもかわらず、日銀が緩和策をさらに推し進める必要はないはず(期間5年の共通担保オペの新設など)。

 むしろ金融政策の正常化をすすめ、物価動向を睨んで柔軟で機動的に動けるようにすることが必要ではないのか。緩和しかできない現在の日銀体制では、物価に応じた政策修正などできはしない。これで果たして本当に良いのであろうか。

 日本銀行法第二条には「日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。」とあるが、現在の日銀はこれを遵守しているといえるのであろうか。

 ちなみに2022年通年でみた生鮮食品を除く総合は102.1と前年比2.3%の上昇となり、日銀の目標値である2%を通年でも超えている。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

牛さん熊さんの本日の債券

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月20回程度(不定期)

「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを牛さんと熊さんの会話形式にてお伝えします。昼には金融に絡んだコラムも配信します。国債を中心とした債券のこと、日銀の動きなど、市場関係者のみならず、個人投資家の方、金融に関心ある一般の方からも、さらっと読めてしっかりわかるとの評判をいただいております。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

久保田博幸の最近の記事