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日銀は12日から13日にかけて10兆円近くの国債を買い入れる

久保田博幸金融アナリスト
(写真:つのだよしお/アフロ)

 日銀は13日、国債買い入れオペ(公開市場操作)で5兆83億円買い入れた。1日の買い入れ金額としては2日連続で過去最大を更新したことになる。日銀は12日にも国債買い入れオペ(公開市場操作)で4兆6144億円買い入れていた。2022年6月15日の3兆7170億円を1兆円近く上回った。

 2日あわせて10兆円近い国債を市場から買い入れたことになる。これも0.50%という長期金利を無理に維持させるためだけに、財政ファイナンスのようなことを行っている。これにより市場に残る流動玉が枯渇してくる可能性があり、債券市場の機能をさらに削ぐことになる。

 日銀は16日にも国債買入を行う事前アナウンスをしているが、もう指し値オペによる国債買入などは止めてほしい。物価が上昇しているのに量的緩和の拡大のようなことをして、いったい日銀は何をしたいのであろうか。

 ここは潔く、オペのオファーは中止することで、オーストラリアのようにYCCの停止を実施すべきと考える。

 オーストラリア準備銀行は2021年10月22日、2月以来初めて2024年4月償還国債を額面10億豪ドル買い入れると発表した。つまり利回り目標を維持する動きに出ていた。

 同月27日に発表されたオーストラリアの7~9月期のコアインフレ率は6年ぶりに2%を超えた。これを受けてのオーストラリア準備銀行による市場への介入は控えていた。

 29日にオーストラリア準備銀行は市場の予想に反し、3年国債の利回りを0.10%前後の目標水準に抑制するための対応を行わず、国債を購入する計画も公表しなかった。

 これを受けて、早ければ11月2日の政策決定会合で、2024年4月償還国債を対象とする利回り目標の撤廃ないし、修正が決定される可能性が市場で意識された。

 オーストラリア準備銀行(中央銀行)は、2021年11月2日に開催された政策決定会合に3年国債の利回り目標によるイールドカーブ・コントロールを停止すると発表した。

 政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標は過去最低の0.10%に据え置いた。ちなみに、オーストラリア準備銀行マイナス金利政策はとっていない。

 オーストラリア準備銀行のイールドカーブ・コントロールは2020年3月に政策金利であるキャッシュ・レートのターゲットを0.25%まで引き下げるとともに、3年国債のイールドに初めて0.25%というターゲットを設定したことでスタートした。その達成のために国債等の買い入れオペレーションが実施された。

 オーストラリア準備銀行のイールドカーブ・コントロールは、日銀によるイールドカーブ・コントロールを意識して設定されたとみられる。ただし、対象の国債は日銀のように10年債ではなく期間の短い3年債となっていた。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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