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7月のFOMCでは0.75%の利上げが確実視か、日銀は現状維持が確実視

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 FRBのタカ派として知られるウォラー理事とセントルイス地区連銀のブラード総裁が14日、今月の会合で予想される利上げ幅について、75ベーシスポイントを支持すると表明した。これを受け、13日発表の6月の消費者物価指数を反映して金融市場で台頭していた100bpの利上げ観測が後退した(15日付ロイター)。

 米労働省が13日発表した6月の米消費者物価指数は前年同月比の伸び率が9.1%となった。5月の同8.6%から拡大し、市場予想の8.8%を上回った。1981年11月の同9.6%以来、およそ40年半ぶりの高い伸びとなった。

 物価が想定以上の高止まりとなったことから、7月26、27日に開催されるFOMCで通常の3倍にあたる0.75%の利上げがほぼ確実視され、利上げ幅が1%に拡大するとの観測も出ていた。

 13日にはカナダ銀行(中央銀行)が、政策金利である翌日物金利の誘導目標を1%引き上げ、2.5%とした。1%の幅での利上げは1998年以来初めてとなる。これを受けて1%の利上げが連想された可能性もある。

 しかし、FRBはタカ派として知られるウォラー理事とセントルイス地区連銀のブラード総裁の発言で、1%との思惑にブレーキを掛けた格好となった。タイミングをみても意図的なものであった可能性が高い。

 ウォラーFRB理事はロッキーマウンテン経済サミットで行った講演で、7月のFOMCで75bpの追加利上げを支持すると表明した。市場で100bpの利上げ観測が出ていることについては「やや先走っている可能性がある」と指摘。利上げ幅は75bpでもすでに「大きい」とし、「100bpの利上げをしなかったからと言って、FRBは仕事をしていないと見なさないでほしい」と述べた(15日付ロイター)。

 これを受けて7月26日、27日に開催されるFOMCでは0.75%の利上げが確実視されつつある。

 ちなみに7月20日、21日に開催される日銀の金融政策決定会合では現状意地、ではなく、現状維持が確実視されている。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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