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個人の金融資産額は2000兆円台を維持

久保田博幸金融アナリスト
(写真:つのだよしお/アフロ)

 日銀は6月27日に資金循環統計(2022年1~3月期速報値)を発表した。3月末の個人の金融資産額は2005兆510億円となり、前回の2023兆419億円(速報値)から減少していたが、2000兆円台は維持した。年度末では初めて2000兆円を超えて過去最高となった。

 個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比で2.9%増の約1088兆円。株式等は同0.6%減の約204兆円、投資信託は同10.4%増の約91兆円となっていた。投資信託は伸びたが、株式は減少した。

 この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。

 残高トップの日銀の国債保有残高は515兆6087億円、48.2%のシェアとなった。前期比(速報値)からは6210億円の減少となった。残高2位の保険・年金基金は246兆1551億円(23.0%)、3兆3278億円減。残高3位は預金取扱機関(都銀や地銀など)で131兆4693億円(12.3%)、8兆5471億円増。残高4位が海外投資家で81兆911億円(7.6%)、4兆2301億円減。残高5位が公的年金の44兆3850億円(4.1%)、7088億円減。残高6位が家計の12兆5503億円(1.2%)、1934億円減。その他が38兆5224億円(3.6%)、3兆9129億円減となっていた。

 2021年12月末に比べ国債(短期債除く)の残高は4兆4469億円減の1069兆7819億円となった。(こちらの国債残高は時価ベース)。

 12月末に比べて預金取扱機関が大きく残高を増加させたが、保険年金や海外が残高を減らしていた。

 短期債を含めた国債全体の数字でみると3月末の残高は約1225兆円。このうち日銀が約531兆円で43.3%のシェアに。海外勢の残高は約167兆円と短期債を含めると国債全体の13.6%のシェアとなっていた。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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