円安が止まらない。ドル円は133円台に上昇、ユーロ円は142円台、市場は向かってほしくない方に向かう
欧米の長期金利が反転上昇しつつあるタイミングで、「揺るぎない姿勢で金融緩和を継続していく」との日銀の黒田総裁の発言を受け、円安が加速してきた。FRBは0.5%の利上げを続ける姿勢を示している。さらにQT(資産縮小)も開始されることで、これも米国債の売り圧力に繋がり、米長期金利を上昇させることになる。
ECBもマイナス金利解除に向けて動くことが予想されている。9日のECB理事会で7月の利上げ幅がある程度想定できるか。もしくは9日の理事会で利上げが検討される可能性もないといえない。それだけ物価の高騰が想定以上になっている。
このように日銀と欧米の金融政策の方向性の違いで円売りが仕掛けやすくなっている。円安を招くという理由で緩和解除を断固しない姿勢を日銀は示している。日銀は動けないとみて仕掛けやすい。
円買いドル売りとなる為替介入については、物価高が現在、最大のリスクとなっている米国政府の同意は得られまい。よほどの事態にならない限りは難しい。
日本政府がプライマリーバランスの黒字化目標年度を明記しない方針が示されるなど、財政規律を緩ませかねない事態も、円安要因とされる懸念も存在する。
この円安も反映され、アップルストアのMacの価格が全体的に値上げされた。現在、企業サイドは強烈な物価上昇の影響を受けている。Macなどの価格が軒並み値上げされるのは、ある程度予想されていたことであり、当面この動きは続こう。パソコンだけでなく、スマートフォンの新製品なども今後は軒並み価格が上昇してくることも予想される。
企業物価指数が前年比で10%もの上昇を示すなか、国内企業にとっては円安の恩恵を受けるところは限られる。部品の調達コスト、原材料費の高騰、電気料などの値上がり、輸送費コストの増加、そこに円安による輸入物価の上昇が加わってくるのである。
企業だけでなく、当然ながら我々の生活にも大きな影響を与えかねない。市場は動いてほしくない方に動く。今回も良い事例となりそうである。解決策としては日銀が金融政策で機動力と柔軟性を回復させるという当然至極のことがあるが、それができないという。