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ECBのラガルド総裁は異例ともいえる7月利上げと9月のマイナス金利政策解除を示唆

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 ECBのラガルド総裁はブログ投稿で「資産購入プログラム(APP)での純購入は7~9月(第3四半期)の非常に早い段階で終わると考えている。これにより、フォワードガイダンスに沿って7月の会合で金利を引き上げることが可能になる。現在の見通しに基づくと、7~9月期末までにマイナス金利を脱却できる可能性が高い」と説明した(23日付ブルームバーグ)。

 その前に、ラガルド総裁はオランダのテレビとのインタビューで、ECBの10年余りで初の利上げが7月に実施される可能性があると述べる一方、景気拡大への懸念がある中で0.5ポイント利上げには否定的な見解を示した(21日付ブルームバーグ)。

 ユーロ圏でも物価の上昇が続いており、ECB総裁自ら利上げの可能性を示唆した。

 ECBの政策委員会メンバーのクノット・オランダ中銀総裁は今週、データ悪化が明らかになれば7月の会合で0.5ポイント利上げが正当化されるかもしれないとの考えを示していた。

 これに対してラガルド総裁は、7~9月期末までにマイナス金利を脱却できるとしている。

 現在のECBの主要政策金利のうち、市場介入金利である定例買いオペの最低応札金利(リファイナンス金利)は0.00%に、下限の中銀預金金利はマイナス0.50%に、上限の限界貸出金利は0.25%となっている。

 マイナス金利の脱却ということは、下限の中銀預金金利のマイナス0.50%がゼロ%以上になることを示している。

 今後のECB理事会の年内の日程は6月9日、7月21日、9月8日、10月27日、12月15日となっている。

 資産購入プログラム(APP)での純購入の終了に合わせ、利上げ開始のタイミングを7月21日の理事会に標準を合わせ、9月8日の会合とともに0.25%ずつの利上げを想定していることが予想される。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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