米国の長期金利が3%台に上昇、日本の長期金利の約12倍の大きさに。利上げを急ぐ米国、緩和強化の日銀
2日の米国債券市場では長期金利の指標になる10年国債利回りが上昇し(価格は下落)、一時3.01%を付け、2018年12月以来3年5か月ぶりの水準に上昇した。日本の長期金利となる10年国債の利回りは日銀によって0.25%に押さえ付けられており、米国の長期金利3%というのは日本と比べて約12倍の大きさとなる。
5月3日、4日にFOMCが開催される。FOMCとは、Federal Open Market Committee(連邦公開市場委員会)の略であり、米国の金融政策を決定する会合のことである。ここで米国の中央銀行にあたるFRB、The Federal Reserve Board(連邦準備制度理事会)が、利上げを決定するであろうと予想されている。
FRBは今年3月15、16日のFOMCで、政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を0.00~0.25%から0.25%引き上げ、0.25~0.50%とすることを決定した。いわばゼロ金利解除ともなり、2018年12月以来の利上げとなった。
その後の米国の物価指数は上昇、もしくは高止まりしている。
米労働省が4月12日に発表した3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.5%の上昇となり、変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は同6.5%上昇となった。
米商務省が4月29日に発表した3月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比6.6%上昇と、前月の6.3%から加速し、1982年1月以降で最も高い伸びを記録した。FRBが物価の目安とする変動の大きい食品とエネルギーを除くコアPCE指数も前年同月比5.2%の上昇。2月は5.3%の上昇となっていた。
ロシアによるウクライナ侵攻を受けての原油や天然ガス、石炭といったエネルギー価格が高止まりすることが予想され、穀物価格などが今後さらに上昇してくることも予想されている。
FRBは物価上昇は一時的との認識をすでに後退させており、今後も物価の上昇を受けて、金融引き締めを急ぐ姿勢を明確化している。
4日のFOMCでは0.5%の利上げとQTと呼ばれるFRBの資産縮小を決定すると予想されている。利上げ幅は0.5%以上となる可能性もなくはないが、それは次回以降かとの見方も強い。いずれにしても今後のFOMCでは連続して大幅な利上げが決定される可能性が高い。
それを見越しての米国の長期金利の3%超えであった。
これに対して日銀は戦時下のような金利抑制策を強化している。金利に対する認識がここまで極端に違うことで、それが外為市場などにも当然ながら影響を与えている。