日銀の金融政策の修正は当面は困難な状況に
20日の10時10分に日銀は通常の国債買い入れとともに指し値オペをオファーした。10年債カレントが0.250%に上昇してきたものに対処した格好となった。
3月28日には朝方に0.250%を付けていないにもかかわらず、指し値オペをオファーしたが、この際には応札額はゼロに。しかし、後場に10年債利回りが0.250%と2016年1月6日以来の水準を付けた際には、日銀はオペタイムを待たずに再び指し値オペをオファーしていた。
20日はすでに0.250%を付けていたことで、どのタイミングで指し値オペが入るのかと市場関係者は固唾を飲んで見守っていた。結果は日銀は淡々と通常のオペタイムにオファーした。
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は昨年10月29日に、市場の予想に反し、3年国債の利回りを0.10%前後の目標水準に抑制するための対応を行わず、国債を購入する計画を公表しなかった。
その後の11月2日の回号で、3年国債の利回り目標によるイールドカーブ・コントロールを停止すると発表した。
今回、日銀も指し値オペのオファーを行わず、27日、28日の金融政策決定会合にてイールドカーブ・コントロールを停止するという選択肢もあった。
しかし、それは現実には実現がかなり難しい状況にある。そもそも黒田総裁が緩和修正を認めていない。そして金融政策は多数決で決定されるため、少なくとも9票ある政策委員票の5票が政策変更には必要となる。しかし、現在リフレ派が4名いることもあり、多数決によって政策を変更することも難しい状況にある。
長期金利コントロールの微調整ならば可能であるのかもしれないが、それを行うと催促相場を誘発させかねない。長期金利コントロールのレンジの引き上げ、もしくは対象を10年国債ではなく5年国債にするという選択肢もある。しかし、中途半端なことをしても効果は限られる。オーストラリア準備銀行のようにスパッと止める必要があると思われるが、現在の日銀の政策委員のメンバー構成からはそれがかなり難しい状況にある。
結果として今回も指し値オペというかたちで量的緩和策を行う格好となり、日米の中央銀行の金融政策の方向性の違いがあらためて顕著となった。
ドル円は一時129円台となり、米10年債利回りは2.98%まで上昇した。ここでいったん両者ともに修正してきた。しかし、ドル円の130円、米10年債利回りの3%達成はいずれ時間の問題となりそうである。