ロシアによるウクライナ侵攻で、銀歯が緊急値上げ
厚生労働省は13日、ロシアのウクライナ侵攻で銀歯の材料パラジウムの価格が高騰していることを受け、5月に緊急で公定価格を約8%引き上げることを決めた(13日付共同通信)。
パラジウムの生産は世界全体の約4割をロシアが占めている。ロシアによるウクライナ侵攻によるロシアへの経済制裁などから、ロシアからの輸出入が不安定になり、パラジウムの価格が高騰した。
パラジウム合金は歯科の治療に使われる銀歯や詰め物の素材となる。
パラジウム合金の価格が診療報酬の基準となる価格より仕入れ価格の方が高くなっている状態となり、歯科医院などでは処置すればするほど赤字になるような状態となっていた。
日本歯科医師会などは医療機関の経営に影響が出ているとして、政府に支援策を講じるよう求めたことで、厚生労働省は診療報酬を決める際のもとになる材料価格を来月、臨時に見直す方向で調整を進めていた。
厚生労働省によると、パラジウム合金の材料価格は、3か月に1度、見直されることになっているが今月から30グラムあたり9万4470円に引き上げられたばかりで、医療機関が実際に仕入れる際の市場価格は、これを上回る事態も起きていた。(13日付NHK)。
経済の正常化に伴うエネルギー価格や原材料価格が大きく上昇していたが、そこにロシアによるウクライナ侵攻が追い打ちをかけた。
特にロシアやウクライナが主要産出国となっている原材料の価格の上昇は当面は避けられない。銀歯のような思わぬ値上げが今後、いろいろなところで生じる可能性がある。