日銀の金融政策の正常化が必要に
3月28日に日銀は二度の指し値オペをオファーした。しかし、それでも足りないとみてか、夕方には複数日にまたがって国債を決まった利回りで無制限に買い入れるという「連続指し値オペ」を実施すると発表した。
この間の長期国債の買入れ(利回り・価格入札方式)については、市場の動向等を踏まえつつ、必要に応じ、買入日程の追加・買入金額の増額を行うことがあるとも日銀は示唆した。
これにより10年債利回りは0.250%で上昇に歯止めが掛かった。しかし、超長期債の利回り上昇には歯止めが掛からず、さらに大きく上昇したのである。
これまでの円債市場は日銀の細やかな国債買入れの調整に敏感に反応していた。日銀に従順な格好となっていた、しかし、それはあくまで国内の物価が低位で安定し、海外の国債利回りも比較的落ち着いていたからであろう。
その状況が世界的な経済の正常化への動きによって変化が生じてきた。原油や天然ガス、さらに石炭などのエネルギー需要が旺盛となって価格が上昇。小麦などの穀物需要も増加、木材などの需要も高まり、物価上昇が世界的に起きた。
そこに今度はロシアによるウクライナ侵攻という事態が発生した。ロシアによるウクライナ侵攻によってロシアと西側諸国の関係が悪化し、その結果、原油や穀物などの価格の高騰を招くことになった。
これによって物価の上昇が予想以上に加速する恐れが出てきた。FRBは利上げのピッチを速める姿勢を鮮明にし、ECBも年内利上げの可能性を強めてきた。それによって欧米の国債利回りも上昇した。
物価目標の消費者物価指数の2%に縛られた日銀はまったく動く兆しをみせず、その結果、欧米の中央銀行との金融政策の方向性が異なり、それによる金利差が意識されて、急速な円安を招くことになった。その円安の動きも日本の国債利回り上昇に拍車を掛けたといえる。
円安によって日本での物価の上昇が加速する懸念も強まった。今回の円安の要因を取り除くためにも、日銀の金融政策の柔軟性、それは結果としての正常化が求められる。日銀も欧米の中銀の金融政策と同じ方向であると示せば、円安の動きが緩和されよう。
あくまで日銀は非常時対応の金融政策をノーマルなものに戻すだけである。それがどうして出来ないのであろうか。
正常化に向けて修正するのであれば中途半端なことはせずに、マイナス金利政策、オーバーシュート型コミットメント、そしてイールドカーブコントロールの3つを同時に解除する必要がある。