Yahoo!ニュース

ロシア国債がデフォルトの可能性

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 ロシアがドル建てなどの国債で債務不履行(デフォルト)に陥る可能性が高まっている。ちなみに、デフォルトとは債券の利息や額面金額が約束通りに支払われないことで債務不履行とも呼ばれている。

 投資家は2月初めの時点でルーブル建て債約3兆ルーブル(約3兆2900億円)相当を保有している(3日付ブルームバーグ)。

 米国と同盟諸国は、ロシアの一部の銀行を国際銀行間通信協会(SWIFT)の安全なメッセージングネットワークから排除することで合意した。これとともにロシアの中央銀行にも制裁を発動している。これらの制裁が利息や元本を支払う際の障害となりつつある。

 これから最初に迎える支払期限は3月16日となる。ただし、猶予期間は30日ある。JPモルガンによると、3月だけで利払いと元本で合計約7億ドル(約810億円)の支払いを控える(3日付日本経済新聞)。

 ロシア国内に支払いの蓄えはあるとされているが今回の制裁もあり、その支払いが滞りなく行えるのか、そもそも支払いそのものがあるのか。

 米メディアは2日、ロシア中銀が、ルーブル建てのソブリン債を保有する外国人投資家に対し、銀行などによる利払いを停止する措置をとったと伝えた。

 今回は支払いが技術的にできない、いわゆるテクニカルな要因によるものとなるかもしれないが、猶予期間を含めて支払いがなければ、デフォルトとなる。

 これによりロシア国債は1998年以来のデフォルト(債務不履行)リスクに直面している。1998年の際にはレバレッジを効かせてロシア国債などに投資していたLTCMが破綻するなど大きな影響が出ていた。

 今回はそもそもデフォルトとなるのかも不透明ながら、その懸念によってもし過剰な投資先などがあった際にはあらたなリスクが浮上することもありうる。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

牛さん熊さんの本日の債券

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月20回程度(不定期)

「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを牛さんと熊さんの会話形式にてお伝えします。昼には金融に絡んだコラムも配信します。国債を中心とした債券のこと、日銀の動きなど、市場関係者のみならず、個人投資家の方、金融に関心ある一般の方からも、さらっと読めてしっかりわかるとの評判をいただいております。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

久保田博幸の最近の記事