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手数料対策に神社と商店が助け合い両替

久保田博幸金融アナリスト
(写真:イメージマート)

 大阪府交野市の住吉神社が、地元の商店主らと連携したコインチェンジを始めるそうである(26日付まいどなニュース)。

 お賽銭で神社には硬貨が集まる。小銭が必要な商店主が参拝の際に紙幣と両替するという一石二鳥の試み。具体的には硬貨50枚を一束にして、参拝にきた商店主が紙幣と交換するという仕組み。

 ゆうちょ銀行では1月17日から、硬貨取扱料金とATM硬貨預払料金が新設された。窓口やATMで貯金の預け入れ・払戻しに硬貨を伴う場合に手数料がかかる。

 窓口では硬貨の種類にかかわらず50枚までは無料だが、51枚から100枚までは550円。101枚から500枚までは825円、501枚から1000枚までは1100円でこれより多い場合は500枚増えるごとに550円加算される。

 ゆうちょ銀行以外の金融機関ではすでに手数料を取っていたが、ゆうちょ銀行では取っていなかった。このため神社や商店主にとって、ゆうちょ銀行は最後の砦となっていた。しかし、その最後の砦もなくなってしまった。

 ゆうちょ銀行の窓口では1円玉を1000枚預けると手数料が1100円かかってしまう事態となってしまう。

 このため硬貨が集まる神社と釣り銭用の硬貨を必要とする町の商店主がタッグを組むという試みである。

 ゆうちょ銀行での硬貨取扱料金とATM硬貨預払料金の設定によって、神社や町の商店主はこのような自衛策をとらざるを得ない。

 参拝ついでの両替であれば、商店主にとってもさほど苦にはならないと思われる。今回の大阪府交野市の住吉神社の試みは、大きな神社仏閣が存在する地域には限定されるかもしれないが、全国規模に拡大して行く可能性もあるのではなかろうか。

 ちなみに財務省のサイトによると、平成10年の外為法改正前は、両替業務を行う場合には大蔵大臣の認可が必要でしたが、現在は、自由に行えますとある。ただし、外貨両替については1か月の取引合計額が100万円を超える両替業者は報告が必要となる。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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