英国のエネルギー供給会社が顧客に、寒ければショウガ食べての提案で謝罪。英国で何が起こっているのか。
英国のエネルギー供給会社であるオボ・グループの傘下部門SSEエナジー・サービシズは、暖房の設定温度をそれほど上げずに暖かく過ごす方法をオンラインで紹介。この冬は体を温めるためにショウガを食べたり、フラフープのコンテストをしたりするよう提案したそうである(12日付ブルームバーグ)。
顧客への提案には、セーターを着ることやメリノウールの靴下を履くこと、家の中を掃除したり、ジャガイモやレンズ豆など消化を促す物を食べて体を温めたりすることも含まれていた。あまり使わない部屋のドアを閉めることも勧めるなどとしていたようだが、これらに対して議員らからも批判の声が上がり、現在はこれらの案を取り下げ、同社は「お粗末で役に立たない」内容だったとコメントし、真摯に謝罪すると電子メールで表明した(12日付ブルームバーグ)。
これはまるでフランス革命の引き金ともなった、王妃マリー・アントワネットの名言とされる「パンが無ければ、お菓子を食べればいいじゃない」が思い起こされる。
この名言はマリー・アントワネットの発した言葉ではないそうだが、とにかく根本的な原因は「パンが無いこと」であり、今回で言えば、欧州におけるガス卸売価格の急騰こそが問題であり、それに対処しない限り根本的な問題解決にはならない。
しかし、このような事態に発展するほど欧州ではエネルギー価格の上昇が問題視されているようである。
ウクライナを巡る政治的緊張やノルドストリーム2の承認の遅れを理由に、ロシアが欧州へのガス供給を抑えているとの報道もあり、電力料金などにかかわる液化天然ガスの価格が欧州で最高値を更新していた。
このエネルギー価格の高騰も手伝い英国で物価上昇が加速している。英統計局が昨年12月15日発表した11月の消費者物価指数は前年同月比で5.1%上昇した。伸び率は2011年9月以来10年2カ月ぶりの大きさになっていた。国民の不満も強まっていると予想される。
翌16日、イングランド銀行は政策金利を過去最低の水準だった0.1%から、0.25%に引き上げることを決めた。これは、物価上昇によって2018年8月以来、3年4か月ぶりとなる利上げ追い込まれたとの見方もできそうである。