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ビットコインはインフレに強いのか。

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 金(ゴールド)はインフレに強い商品と言われる。インフレになった時に現金や国債の価値が目減りする、つまり通貨安となったり、国債が売られ長期金利が上昇したりするのに対し。インフレになると価格が上昇する資産として金や株、不動産などが挙げられている。

 これは物価の状況とそれを取り巻く環境などによって必ずしも絶対にそうなるということではない。今回の物価上昇の局面での通貨については、欧米はともに物価が上昇していることでユーロドルなどは妙な均衡を保っているのに対し、ドル円をみると日本の消費者物価指数が低迷していることで円安ドル高が進んでいる。

 国債については新型コロナウイルスの感染拡大によるリスク回避による買いなどもあって大きく崩れることはなかったものの、こにきての国債利回りは上昇基調にある。

 また、株価については5日の米国株式市場は大きく下げたが、前日にはダウ平均が過去最高値を更新していた。欧州の株価指数もストックス欧州600種は過去最高値を更新している。

 金(ゴールド)については一時ピーアウトしたものの、ここにきて再び上昇基調となっている。

 それではビットコインなどの暗号資産はインフレに強い商品なのか。以前は仮想通貨とも呼ばれていたが、金などのように通貨の代替資産として法定通貨などの下落時に買われるかといえば、そうとは言い切れない。

 さらにリスク時に強い商品かといってもそうではない。リスク回避時に買われるというよりは、むしろリスク選好型の商品と言える。

 さらには中央銀行の金融緩和による過剰流動性に元、資金が向かいやすい投機的商品のひとつでもあった。このため、インフレが意識されると今回のFRBのように正常化、つまり金融緩和からの正常化が意識されることで、過剰流動性が後退することが連想され、リスク選好型の商品にとっては悪材料となる。

 暗号資産(仮想通貨)ビットコインの価格がニューヨーク時間5日の取引で、昨年12月初めの週末に起きたフラッシュクラッシュ以来で最も安い水準まで下げた。金利上昇観測が高まり、過去数年パフォーマンスが目覚ましい資産の価格に下押し圧力がかかったと6日のブルームバーグが伝えていた。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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