内閣府は30日、日本経済が後退局面から拡大局面に転換する景気の「谷」の時期を2020年5月と認定した。2018年11月から始まった後退局面は19か月で終わったことになる。

 ただし、今回の後退から拡大への転換は自然発生的なものではなく、新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動に急ブレーキがかかり、戦後最大級の急激な落ち込みとなった反動がきっかけになっていた。

 このあたりについては金融市場の動向をみるとわかりやすい。

 2020年2月21日から24日にかけて欧米の株式市場は大幅続落となった。韓国やイタリア、イランなど中国以外での新型コロナウイルスは感染者が急増した。25日には米国の疾病対策センター(CDC)が国民に対し、米国内での新型コロナウイルス流行に備えるよう注意喚起を行った。新型コロナウイルスが米国でも広がるとの懸念が強まったことで、これも株式市場の下げピッチを早めさせた。

 3月に入り米国内での新型コロナウイルスの感染者が増加した。9日にサウジアラビアによる原油増産観測などから原油先物価格が急落し、これも影響しダウ平均は2013ドル安となった。

 トランプ大統領が11日夜の演説で、新型コロナ対策として、13日から英国を除く欧州からの渡航を30日間禁止すると発表。これを受けて需要懸念に拍車が掛かった。12日のダウ平均は2352ドル安となり、過去最大の下げ幅を更新した。

 15日にはFRBが臨時のFOMCで政策金利を実質ゼロとし、量的緩和政策も再開させた。さらに日米欧の中央銀行は米ドル・スワップ取極を通じた流動性供給を拡充するための協調行動を公表した。

 FRBは18日夜にMMF向けに資金供給を始めると発表、18日にはECBも緊急の資産購入を決め、19日にBOEも緊急利下げ等を発表した。

 23日あたりから今度は米株などが急速に値を戻してきた。米議会で規模約2兆ドルの新型ウイルス対策法案が可決されるとの見方なども要因となった。

 原油先物は下落相場が続き、4月20日に原油先物価格がマイナスになるという異常事態が発生した。先物の現引き現渡しにかかわるテクニカルの影響もマイナス化に絡んでいた。しかし、ここから原油先物も急回復することになる。

 米国の2020年4~6月期GDPは年率換前期比32.9%のマイナスと過去最悪の下落率となり、ユーロ圏19か国の4~6月期のGDP速報値も前期比で年率40.3%減となり、こちらも過去最大の落ち込みとなっていた。そして、日本の4~6月期GDP速報値は年率換算で前期比マイナス27.8%と戦後最大の落ち込みとなった。

 ここが底となり、日本の景気も回復基調となっていた。落ち込みが大きかっただけにその反動も大きかったと言えた。