中国人民銀行(中央銀行)は24日、暗号資産(仮想通貨)の決済や取引情報の提供など関連サービスを全面的に禁止すると発表した。違法な金融活動と位置づけ、刑事責任も追及する。海外の取引所がインターネットを介して中国国内でサービスを提供することも違法とする(24日付け日本経済新聞)。

 当然ながらこれは中国政府の意向が反映されていよう。それでは何故、中国は暗号資産を排除しようとしているのか。

 共産党中央インターネット安全情報化委員会弁公室や最高人民法院との連名の通知によると、人民銀行は仮想通貨の投機的な取引が経済や金融の秩序を乱し、マネーロンダリングや違法な資金調達、詐欺行為を引き起こしていると指摘。

 暗号資産は犯罪に使われやすい面があることは確かであるが、それが主たる要因とは考えづらい。やはりデジタル人民元を意識したものといえるのではなかろうか。

 中国人民銀行法の改正案は法定通貨にデジタル人民元も加える方針を示しており、仮想通貨など民間のデジタル通貨の発行は禁じることになる。これを踏まえた動きではなかったろうか。

 これはデジタル通貨だけでなく、いずれデジタル決済についても同様の動きが出ることが予想される。

 中国のデジタル決済といえば支付宝(アリペイ)と微信支付(ウィーチャットペイ)が大きなシェアを占めているが、これをいずれデジタル人民元に置き換えようとの意図も感じられる。

 今回の措置により、新規事業を禁じるほか、既存プロジェクトの撤退も加速させるようである。マイニング事業者の電力調達を封じるほか、金融や税財政による事業支援も認めない。

 中米エルサルバドルでは、9月7日からビットコインが法定通貨となったが、中国はこれとは真逆の動きとなる。それぞれの事情がそうさせたことは確かであるが、その対比も興味深い。

 これに対し日本や欧米などではどのような取り扱いとなるのか。当然ながら暗号資産を法定通貨にするようなことは考えづらい。しかし、全面的に規制するというのも現状は考えづらい。ただし、犯罪の利用が多発したり、セキュリティへの問題などが生じたりすると規制を強化してくる可能性はありうる。暗号資産(仮想通貨)はあくまで投機的な対象物にしかすぎないため、これを保護するようなことはないであろう。