FRBのテーパリングで株価は下がるのか、下がらなかったという実証例も
米連邦準備理事会(FRB)は18日、7月のFOMCの議事要旨を公開。テーパリング開始について議論し、「ほとんどの参加者が今年中に購入額の減額を始めることが適当」と判断した(19日付日経新聞)。
18日の米債はこの議事要旨発表前に10年債利回りが1.30%まで上昇していたが、この内容を確認し、ほぼ想定の範囲内として買い戻され、1.26%と前日比変わらずとなっていた。
これに対して18日の米国株式市場はテーパリング開始時期が思ったよりは早めかとの認識となったのか下落していた。しかし、過去最高値水準にあったことで、これをひとつのきっかけとして利益確定売りに押されたものと思われる。
テーパリングとは量的緩和策の縮小を意味する。FRBは現在、金融政策の一環として米国債と住宅ローン担保証券(MBS)を市場から購入している。これを段階的に縮小するというのがテーパリングと呼ばれるものとなる。
議事要旨によれば、「経済・金融環境に基づくと、向こう数か月に縮小が正当化される可能性が高いと一部の参加者が言及」。一方で「他の幾人かは、資産購入ペースの減速は来年の早い時期に適切となる公算がより大きいとの認識を示した」という。
これを見る限り、年内にテーパリングが開始されるのか、来年からなのかは微妙なところか。構成比率を維持しながら減速させることの利点を大半の参加者が指摘したとも議事要旨には記されており、MBSの減少を先行させるとの一部憶測は否定された格好に。
中央銀行の量的緩和を含む大胆な金融緩和策によって過剰流動性が生み出され、それが株価上昇と土台になっているという見方は強い。そうなるとテーパリングによって株式市場の上昇は止まり反転下落するのか。
それを占う上で前回のテーパリング時の米国株式市場のダウ平均の推移をみてみたい。右側の数字がダウ平均の当日引け値(データは著者調べ)。
2013年
5月22日にバーナンキFRB議長はテーパリングの可能性を指摘、15307.17
6月19日のFOMC後の記者会見においてテーパリングを示唆、15112.19
9月18日FOMCでは予想されたテーパリングを見送った、15676.94
12月18日のFOMCでテーパリングの開始を賛成多数で決定、16167.97
2014年
1月29日のFOMCでさらなる縮小を決定、15738.79
3月19日のFOMCでも縮小、16222.17
4月30日のFOMCでも縮小、16580.84
6月18日のFOMCでも縮小、16906.62
7月30日のFOMCでも縮小、16880.36
9月17日のFOMCでも縮小、17156.85
10月29日のFOMCでも縮小を決定し、これにてテーパリングは終了、16974.31
これをみてもわかるとおり、テーパリングを行ったからといって、株は絶対下がるというわけではなく、むしろ上がっていた。株価を形成する要因は中央銀行の金融政策だけではないという面もあるが、テーパリングについてあまり過剰に反応する必要はないと思われる。