米国の物価上昇は続くが、FRBによる性急な金融引締めは回避か
米労働省が11日発表した7月の消費者物価指数は前年同月比5.4%の上昇となった。約13年ぶりの高水準だった6月の5.4%と変わらず。変動の大きい食品とエネルギーを除く上昇率は前年同月比4.3%となり、6月の4.5%の上昇からは鈍化した。前月比は0.3%上昇と6月の0.9%上昇から大きく低下した。
これをどのように判断すべきか難しいところでもある。これを受けてFRBがどう判断して、テーパリングや利上げのスケジュールに変更があるのかという点が注目される。しかし、そもそもFRBの物価目標は消費者物価指数部はなくPCEデフレーターである。
それでも消費者物価指数も物価の重要な指標であることも確かである。前年同月比5.4%の上昇というのは前年比2%を大きく上回っている。コア指数は予想を下回って伸びが鈍化したといっても前年同月比4.3%となり、2%を大きく上回っていることも確かであろう。
FRBはこの物価上昇は一時的としているが、年内は物価上昇は続くとの認識でもある。今回の消費者物価指数をみて、FRBがスケジュール感を変えることは考えづらいとともに、若干伸びが鈍化したことで、物価の急激な上昇は一時的との見方にも変化はないと思われる。
アトランタ連銀のボスティック総裁はインフレ率について、時間をかけて目標の2%に落ち着くとの見通しを示した。雇用の最大化という金融当局の責務は、性急な利上げはしないことを意味すると述べ、最近のインフレ高進は一過性のもののようだと指摘した(12日付けブルームバーグ)。
これがFRBの共通認識かとみられる。利上げはしないとは言っておらず、「性急な」との表現が加えられている。ここからさらに物価が急上昇するようなことがあれば、早急な引締め策も必要となりかねないが、それは回避できるとの認識であろう。