7月1日のニューヨーク時間でドル円は一時、111円64銭と2020年3月以来の水準まで上昇した。このドル円の上昇はやや不可解でもあった。この日の米長期金利は1.45%に低下していた。このため米長期金利の上昇を受けた円安ドル高ではない。

 英国のイングランド銀行のベイリー総裁がインフレが持続しないと考える理由には十分な根拠があると述べ、英中銀は金融政策の正常化を急がないとの姿勢を示し、これを受けて外為市場ではドルが英ポンドに対して買われ、対円でのドル買いに波及したともされる。

 それも否定はしないが、ドルや円そのもの材料でもない。ドルだけでなくユーロ円も上昇しており、それはつまり円安の動きともなっている。ドル円はチャート上、111円近くが目先の節目ともなっていたことで、そこを試して上抜けてきたともいえる。テクニカル的な要因もあったと思われるが、何かしらの材料が背景にあった可能性もある。

 1日には原油先物にも動きがあった。この日のWTI先物8月限は1.76ドル高の75.23ドルと大きく上昇し、2018年以来初めて終値で75ドルを上回った。

 原油価格がここにきて上昇していたのは、経済の正常化を睨んでの世界需要が増えるとの見方や、米国の原油在庫の減少などによるものであった、

 しかし、この日の大きな上昇はOPECプラス協議中断というサプライズが絡んでいた。減産縮小を協議していたのが、UAEの合意案への反対によって白紙に戻り、最終的に減産が全く緩和されない可能性が出てきた。

 これによって原油需給の逼迫の可能性が意識されての原油価格の上昇となったのである。協議の行方は見通せないが、仮に減産縮小で合意できたとしても、その背景にある原油需要の拡大によって、原油先物の上昇トレンドは維持されると予想される。

 ここにきて円安に加え、原油価格の上昇もあり、これらは物価の上昇要因となりうる。現在、低迷している日本の消費者物価指数も原油価格の上昇と円安による影響は受けやすい。

 2008年7月に日本の消費者物価指数が前年比で2%を超えてきたのは原油先物価格が100ドルを大きく超えた上、当時としての円安も影響していた。

 2014年4月に消費者物価指数が前年比プラス1.5%となったのは消費増税前の駆け込み需要もあったが、円安とともに原油価格がやはり100ドルを超えていた影響もあった。

 この先、もし原油先物が80ドルを抜けて100ドルを目指すようなことになり、円安トレンドが継続すれば、日本の消費者物価指数が上昇してくる可能性はある。