日経平均は30年6カ月ぶりに2万9000円台を回復、やや違和感もある上昇に
8日の東京株式市場で日経平均株価は続伸し、一時2万9000円台を回復した。終値ベースでは1990年8月以来、30年6カ月ぶりとなる(8日付日経新聞)。
5日の米国株式市場では、米上下院が5日、予算決議をそれぞれ可決したことを受け、バイデン政権の追加経済対策が成立に向けて前進したと認識され、ダウ平均は92ドル高となり、5日続伸となった。
ナスダックは78ポイント高となり、S&P500種株価指数も5日続伸して15ポイント高と、それぞれ過去最高値を更新した。
5日に発表された1月の米雇用統計で非農業雇用者数は前月比4.9万人増と市場予想に届かなかったものの、これはむしろ経済政策に向けた後押し要因になると認識されたようである。
米国株式市場や外為市場では、これまでこの米雇用統計が重視される傾向にあった。米国の中央銀行であるFRBの金融政策などに影響を与えやすいということなどが要因であったが、その意味では雇用統計の数字と株式市場の連携性は失われつつある。雇用統計が悪化したからといって米国株式市場には売り要因とはならなくなってきた。
5日の米国株式市場が上昇していたのだから、今日の東京株式市場も上昇してしかるべきとも考えられるかもしれないが、私は少しこれに違和感を持った。
当日の株式市場を予測する上で、いくつか見ておくものがあり、それが米国株式市場や欧州の株式市場であったりする。債券や外為、原油なども気に掛ける必要はあるが、その比率は何かことが起きていない限りは低い。そして、もうひとつチェックするべきは日経平均先物の動向となる。
5日の日経平均先物は70円安の28720円となっていた。5日の日中の東京株式市場で日経平均は400円を超す上昇となり、引けは437円高となっていた。これはつまり米国株式市場に先んじて東京株式市場は、すでに大きく上昇していたことで、日経平均先物はその後、利益確定売りに押されていたのである。
5日の米国株式市場が上昇しても、それは5日の東京株式市場はある程度織り込み済みで、8日の東京株式市場は売りが先行してもおかしくはないとみていた。ところが、今日の東京株式市場は米株の上昇を素直に受けて買いが先行したのである。
さらに寄り付き後、急速に上げ幅を拡大させてきた。これは日経平均やTOPIXに限らず、東京時間での米株価指数先物も同様の動きとなっていた。ドル円もつられて105円半ばに値を戻している。
いまのところ朝方の東京株式市場を引き上げた要因は見当たらないが、いずれにしても戻りを試すような状況は変わりはないとして、先物を主導として仕掛け的な動きとなった可能性もある。