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2020年の消費者物価指数は4年ぶりにマイナス

久保田博幸金融アナリスト
(写真:アフロ)

 総務省が22日発表した2020年の消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数で101.5と前年比0.2%下がった。これは4年ぶりのマイナスとなる。

 ちなみに21日に日銀が発表した経済・物価情勢の展望(2021年1月)によると、GoToトラベル事業による消費者物価への直接的な影響を、一定の前提に基づき試算すると、2020年度が-0.2%ポイント、2021年度が+0.1%ポイント、2022年度が+0.1%ポイントとなるとか。

 また、12月の全国消費者物価指数をみると、総合で前年同月比マイナス1.2%、生鮮食品を除く総合で同マイナス1.0%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合で同マイナス0.4%となった。

 生鮮食品を除く総合で同マイナス1.0%となったのは2010年9月のマイナス1.1%以来となる。

 これには、前月に続いて宿泊料が前年比33.5%の大幅下落となったことが影響していた。「Go Toトラベルキャンペーン」による宿泊料の割引が影響し、10月からは「Go Toトラベル」の対象に東京を発着する旅行が加わっていた。

 前年同月との比較での寄与度をみると、10月に生鮮野菜が上昇した反動から、レタスなど生鮮食料品の下落の影響が大きく、このため総合でも11月の前年同月比マイナス0.9%から、こちらも同1.2%の落ち込みとなっていた。

 さらに灯油(マイナス14.4%)、ガソリン(マイナス8.9%)、都市ガス代(マイナス9.5%)が影響していた。

 原油先物価格をみると、WTIは昨年4月に一時マイナスとなったが、その後、中国などの原油需要の回復などから、徐々に値を戻して、6月には40ドル近くまで上昇した。これにより、エネルギーのマイナス寄与度が縮小した。7月以降のWTI先物は40ドル近辺の膠着相場となっているが、前年比でみるとマイナスが続いている格好に。

 GoToトラベルや原油価格による影響が大きいが、GoToトラベルは1月12日から2月7日まで中止となる。その後の動向は不透明ながら、今後も物価に影響を与えるであろうことは日銀の試算でも明らかである。

 ただし、原油価格については要注意となる。特に昨年の4月にかけてWTI先物は急落しており、前年比では原油価格による下方圧力は今後後退してくることも予想される。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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