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日銀のサイトにある動画の「おうちでさつかん」の「札勘」を知っていますか

久保田博幸金融アナリスト
(写真:アフロ)

 日銀のサイトには「にちぎん・学びの部屋」というコーナーがあり、ここに昨年末にアップされた動画が話題になっていた。その動画のタイトルは「おうちでさつかん」というものであり、自宅で「札勘(さつかん、お札の数え方)」を学ぼうというものである。

 「札勘」と聞いてピンとくる人はどのくらいいるだろう。金融市場関係者、もしくは会社などでお札を扱う部署にいるような人に限られるのではなかろうか。そのほかの人にとって、例えば100万円の束の紙幣の枚数を日常的に数えるような機会はそれほど多くはないと思う。

 「札勘」という言葉を久しぶりに聞いて、なぜいま札勘なのかと思った。世はキャッシュレス時代、日本はスマホ決済普及などをみてキャッシュレス化が遅れているという人がいるが、現実には法人同士の取引などではキャッシュレス化は進んでおり、金融取引において札勘という行為そのものはかなり減少していると思われる。

 銀行や証券会社の営業マンも札束を扱うことは、以前に比べて少なくなっているのではなかろうか。とはいうものの、札束を扱う機会は皆無ではなく、いわゆる巨額のタンス預金も存在しているといわれることで、いまでも金融機関の新入社員は「札勘」を覚えさせられているのであろうか。

 その札勘の動画、日銀の「おうちでさつかん」では二種類の方法が紹介されている。動画にもあるように札勘の方法としては「縦読み」と「横読み」がある。私が証券会社にいたときに習った札勘は「縦読み」であり、証券会社は主に「縦読み」、銀行は主に「横読み」という印象を持っていた。しかし、銀行ではお札の種類を確認できる「縦読み」と数えるのが早い「横読み」の両方を覚えるようである。

 銀行や証券の支店では、札勘をしてくれる機械もあり、店頭で「札勘」をすることも少なくなっていると思われる。それでもどうしていま「札勘」なのか。

 超がつくほどの金融緩和や、積極的な政府の財政政策、そしてそれを受けての株高などによって世の中のお札が急激に増加しているので、それをカウントする技術がいまになって必要となったため、というわけでもないとは思うが。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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