世界で社債の債務不履行(デフォルト)が中国を中心に前年から倍増
新型コロナウイルスの影響で債務の返済や利払いをできない企業が世界で増えている。2020年に社債の債務不履行(デフォルト)に陥った企業は足元で223社と前年の2倍に上る。過剰債務企業がここ数年、世界で増殖しているためだ(13日付日本経済新聞)。
デフォルトとは、債券の発行者が破綻等によって、利払いが遅延したり、元本の償還が不能となったりすることである。
特に中国で11月あたりから社債のデフォルトが増加している。中国河南省の国有石炭大手、永城煤電控股集団(永煤集団)が発行した社債が、「AAA(トリプルA)」の格付けを得ていたにもかかわらずデフォルトした。清華大学が支援する半導体メーカーの紫光集団や自動車メーカーの華晨汽車集団が相次いでデフォルトとなった。
中国銀行間債券市場の規制機関、中国銀行間市場交易商協会は、これら高格付け国有企業のデフォルトを受けて行った国内格付け業界の見直しで、実態にそぐわない格上げなど、業界全般にわたる問題があると指摘した(3日付ロイター)。
デフォルトは中国だけでなく、欧米などでも増加している。金利が歴史的低水準にもかかわらず債務不履行が増えているのは、過剰債務企業が世界で増殖しているためとの指摘がある。
ただし、現状、世界の債券市場に動揺が走っているわけではない。国債に対する社債利回りの上乗せ幅(スプレッド)は一時上昇したが、コロナ前の水準に戻ってきている。また、国債の利回りそのものも低位で安定しているどころか、欧州ではあの欧州の信用不安で金利が大きく上昇していたポルトガルの10年債利回りまでもがマイナスとなっている。
この国債利回りが非常に低位で推移していることや、中央銀行の大量の国債買い入れなどによる資金供給で、少しでも利回りの高い債券へのニーズは強い。債券市場でも過剰流動性相場となっており、その意味でリスクが覆い隠されているともいえるかもしれない。
それでも小さな穴がいずれ大きく拡がり、いずれ洪水を起こす懸念がまったくないわけではない。社債のデフォルトの増加にも注意を払う必要があろう。