次期米財務長官にイエレン前FRB議長を指名か
バイデン次期米大統領は財務長官にFRB前議長のジャネット・イエレン氏を指名する計画だと報じられた。財務長官に指名されれば初の女性財務長官となる。FRB議長経験者が財務長官となるのはカーター政権のミラー財務長官しかいないそうである。
すでに国務長官などの主要閣僚人事は発表されているが、こちらは経験重視の人事となっていた。これに対してイエレン氏は学者出身であり、政治家としての経験はない。しかし、FRB議長という大統領に継ぐ影響力を持つというポストにいたことで、金融経済に関しては経験は豊富といえる。
麻生太郎財務相は24日、バイデン米次期政権の財務長官候補にFRBのイエレン前理事長が浮上していることについて「きわめて常識的な人」と、イエレン氏の人物像を語った。そして、「発言もしっかりしているし、極めて能力も高いと思う」と語った。麻生財務相とイエレン氏は、G7などで直接顔を合わせる機会も多かった(24日付ロイター)。
今後の米国政治に重要なのは、麻生財務相も指摘していたような「きわめて常識的な人」だと思われ、その意味でもイエレン氏は適任か。
さらに現在、米財務省とFRBは対立色を強めている。ムニューシン財務長官が、3月にFRBと共同で導入した金融支援策のうち社債購入など五つのプログラムに関して期限が切れる年末に終了する意思をパウエル議長に伝達し、未使用資金を返還するよう求めたのである。
これについてはトランプ政権からの嫌がらせではないかとの見方がある。しかし、来年1月20日にバイデン政権に無事移行し、財務長官にイエレン氏が就任するとなれば、財務省とFRBの関係が改善されることが予想される。イエレン氏はFRB議長を一期しか務めなかったが、その手腕に疑問があったためではない。こちらもトランプ政権による嫌がらせといえる人事であった。イエレン氏の能力を高く評価しているのは麻生大臣だけではないはずである。