Yahoo!ニュース

NTTが過去最大規模の社債を発行か

久保田博幸金融アナリスト
(写真:西村尚己/アフロ)

 NTTは5000億円超の社債発行を決めた。国内市場での1度の発行額として過去最大となる。NTTドコモの完全子会社化や高速通信規格「5G」の整備など成長投資の資金を確保する(13日の日本経済新聞)。

 機関投資家の需要を見極めながら、発行額を数千億円上積みする可能性もあるようで、国内で調達しきれないことを想定し、海外での社債発行も検討しているとか。全体での調達額は1兆円を超える可能性も。

 NTTはドコモを約4兆3000億円で完全子会社化する方針で、そのための費用の一部を賄うための社債発行ともなる。また、高速通信規格「5G」の整備など成長投資の資金を確保するためとされる。

 年限は3、5、7、10年の4本立て。主幹事はSMBC日興証券と三菱UFJモルガン・スタンレー証券、みずほ証券、野村証券、大和証券。NTTの格付けは、格付会社のS&Pグローバルで「ダブルAマイナス」と国内企業で最上位となっている。

 国内の社債市場ではセブン&アイ・ホールディングスが3本立てで最大4000億円を今月下旬にも起債する見通し(13日付ブルームバーグ)。すでにソフトバンクグループや武田薬品工業、パナソニックが5000億円規模の社債を発行していたが、今回はそれを上回る。

 ただし、日本は米国に比べて社債市場が小さいことも確かであり、全体での調達額が1兆円規模ともなれば、その一部は米国でのドル建て債発行となる可能性もある。

 日銀の金融緩和策などにより、国債の利回りは低位で推移している。社債の利回りはこの国債に上乗せされることになり、少しでも高い利回りを得ようとする投資家の需要もあろう。このような大型の起債がうまくいけば、今後、国内の社債市場の規模がさらに大きくなっていくことも期待される。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

牛さん熊さんの本日の債券

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月20回程度(不定期)

「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを牛さんと熊さんの会話形式にてお伝えします。昼には金融に絡んだコラムも配信します。国債を中心とした債券のこと、日銀の動きなど、市場関係者のみならず、個人投資家の方、金融に関心ある一般の方からも、さらっと読めてしっかりわかるとの評判をいただいております。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

久保田博幸の最近の記事