格付け会社が日本国債の格付けの見通しを下方修正した意味
格付け会社のS&Pグローバル・レーティングは9日、日本国債の格付け見通しを下方修正したと発表した(9日付時事通信)。
日本国債の格付けそのものは投資適格10段階の上から5番目にあたるAプラスに据え置かれた。あくまで今後の「見通し」をこれまでの、格上げの可能性がある「ポジティブ」から「安定的」に引き下げたのである。
国会で審議中の第二次補正予算案を踏まえ、S&Pは2020年度の債務残高のGDP比率は171%となり2019年度の151%から大幅に上昇すると試算。新型コロナウイルスの感染が収束しても、今後2~3年間はある程度の財政支出を維持して経済を下支えするため、財政は引き続き圧迫されると予想している(時事通信)。
さすがに過去最大規模の補正予算案を受けて格付け会社も動かざるを得なかったものとみられる。
日本国債についてはたとえ格付け会社の格下げがあっても、これまで動じることはなかった。日本国債が国内投資家でほぼカバーされていたからという理由もあったが、それ以上に日本国債に対する揺るぎなき信認が存在していたためである。
その信認に疑問が出れば、2010年のギリシャ国債、その後のイタリアやスペインの国債のような事態を招く可能性は高い。いったん信認に疑問が生じると格付け会社の格下げなどにも敏感に反応するようになってしまう。これはギリシャショック時の南欧国債の動きをみても明らかであり、これが日本国債では絶対起きないという保証はない。